第3話 田原 りん
突然の真珠訪問はあったが、昔からそうだったので、突然家に来たことに驚きは少ない。
「真珠、通帳とお金持って帰ってないじゃん」
これに関しては僕が悪いのだが、『持って帰ってくれ』と言ったから、自分で持って帰ると思っていたが…
「まぁ、真珠だしな…」
「どうせ、またすぐ来るだろう」
今度会った時に持ち帰らせようと決め、外に出る準備をする。
今日の朝ごはんは昨日コンビニで買った、おにぎり2つだ。
ちなみに味は塩と鮭。
「うん、やっぱりコンビニのご飯は美味しいな」
僕は父親が社長だからと言って、めちゃくちゃ高い物を食べてきたわけではない。もちろんコンビニにも行くし、何なら最近のコンビニのクオリティは凄いから、コンビニ飯の方が好きなくらいだ。
「よし、とりあえず、コンビニでタウ◯ワークを貰わないと…」
そして昨日行ったコンビニを目指して家を出る。
今度は鍵をかけることを忘れずに。
「あれ?」
「お、おはようございます。廉くん」
「あぁ、おはよう。朝早いね、瑠璃さん」
「廉くんこそ、これからどこへ行くんですか?」
「今からコンビニに行ってタウンワー◯を貰いにいk」
「そうだったんですね。私もちょうどコンビニに用があったんですよ」
話を遮られた気がするがまぁいいだろう。
「そうだ。一緒に行きませんか?」
「えぇ、いいですけど」
アパートから3分ほどしかかからないのに、一緒に行く意味はあるのだろうかと思ったが、ご近所付き合いは大切なので、了承した。
「………あの、今朝の女の人との関係って…」
「今朝…あぁ、うるさかったですよね。すみません」
「いえ、うるさくはなかったんですけど、ただどういう関係なのかと…」
はたして元許嫁と言っていいのだろうか、幼馴染…いや違うな、知り合い…これも違うな、
友達か…
「彼女は友達です」
「それじゃあ、彼女というわけじゃないんですね!」
「彼女? 彼女はいたことありませんよ」
許嫁はいたことあるけど…
徒歩3分なのですぐに着く。
「それじゃあ僕はこれで…」
「えっ!」
「えっ?」
「い、いや何でもないです」
突然『えっ!』なんて言うから何かあったのかと思ったが、何もないなら気にすることもないだろう。それよりも◯ウンワークだ。
お目当てのタ◯ンワークはすぐに見つかり、流石にそれだけでコンビニを出るのは悪いなと思い、今日のお昼と飲み物を買おうと思い、たまごサンドと麦茶を持って、レジに行く。
「いらっしゃいませー」
定員さんは女の人で率直に言うと可愛い、けど目の下にクマがあり、疲れているように見える。
「合計452円です」
452円ぴったり渡す。
「ちょうどお預かりします。ん、君、バイト探してるの?」
「えっ! えぇ、まぁ、はい」
「じゃあ、このコンビニで働かない? 今、人足りてなくて…」
「えっ! いいんですか? そういうの勝手に決めちゃって」
「店長! この子バイトしたいってー」
「えっ! それ本当!?
コンビニの奥から出てきた店長と思わしき人の反応をみて、本当に人が足りてないんだと察する。
「君、ここでバイトしたいの?」
「えっ! えぇ、まぁ、はい」
「………流石に面接なしで採用はまずいから、形だけでも面接はしないとなぁー」
「僕まだ、履歴書とか何も書いてないですよ」
「そうだよね。家は近く?」
「はい、そうです」
「それじゃあ、また今度来た時教えてくれる?」
「あっ! 店長、私、連絡先交換します。LINEやってるよね」
「えっ! はい」
スマホを出し、LINEを交換する。
画面に出てきたのは田原 りんの文字。
「田原 りんさんですか?」
「うん、田原めっくんハウスの田原にひらがなでりん、よろしくね」
「僕は滝山 廉です。よろしくお願いします」
「じゃあ、予定決まったら、連絡するから、よろしくねー」
「あ、あの! 目、クマできてますよ。休んだ方がいいですよ。これ買うんでそのままあげます。貰ってください。では失礼します」
どうしても気になってしまったので、睡眠サポートドリンクを渡し、コンビニを後にした。
「えっ……………………」
りんの顔は店長が今まで見たことないほど真っ赤に染まっていた。
一方、コンビニの後方では…
「あの女廉くんと連絡先交換しやがってあの女廉くんと連絡先交換しやがってあの女廉くんと連絡先交換しやがってあの女廉くんと連絡先交換しやがってあの女廉くんと連絡先交換しやがってあの女廉くんと連絡先交換しやがって、私だってまだ連絡先持ってないのに!」
※瑠璃さんのお会計は店長が担当しました
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