1人でもやばいヤンデレ美少女たちが手を組み始めました、これはもう諦めた方がいいですか?

マキマキ

第0話 滝山 廉

僕は滝山たきやまグループの御曹司、滝山 れんとしてこの世に生まれた時から不自由なく生活していた。欲しい物は何でも買ってもらえた、そして何でも自分の好きな事ができたが、僕は成長するにつれ、だんだんと気づいていった。

全て自分の力ではないことに。

そして僕は決心した、高校生になったら、この家から出ていく。

もちろん僕もバカじゃない。本当にこの家から出ていくわけじゃない、というか出ていけるわけがない。もしもそんなことになったら、すぐに株主総会が開かれ、次期社長はどうするんだ! と一悶着あるだろう。

僕もこの滝山グループの後継ぎとして生まれてきたからにはもちろん後は継ぐつもりだ。

それを重荷だとは思っていない。

重荷だと思っていないからこそ、自分の力で生活し、社会経験を積んでおきたかったのだ。

社会の厳しさを知っておきたかったのだ。簡単にいうと普通の生活をしたかった。

僕は両親に『高校3年間、自分1人の力で生活させてください!』と直談判した。

最初は反対されたが、本気だという事を示し、何とか了承を得た。


そして3つの約束をした。


1つ 連絡はしない(高校の書類、その他重要事項がある場合は別)

2つ 家に来ない(色々としそうだから)

3つ 仕送りも禁止(自分の覚悟)


しかし、高校3年間の学費だけはすでに支払われていた。払うつもりだったのに…

そこから数ヶ月、僕は着々と準備を進め、遂に家を出る日になった。


「それじゃあ、行ってきます」


「辛くなったら帰ってきてもいいからね」


「廉、送りの車は…」


「3年間は絶対に帰ってこないし、送りの車もいらないから」


「そうか…じゃあ最後に…」


父さんから封筒を渡される。


「何これ?」


「親からの最初で最後の仕送りだ。これだけは受け取ってくれ」


「だから、仕送りは…」


「これは応援の気持ちだから、素直に受け取ってくれ」


「………なら、受け取っておくよ、ありがとう」


「頑張れ、廉」


「うん、それじゃあ」



そうして僕の一人暮らしが始まった。

これから始まるのが普通の生活じゃなく、地獄の生活とはこの時はまだ知らなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る