第3話 生きる気力をなくした少年

 俺は、スクイアットロとともに行動をする。

 どこにいても噂が広まり、俺は人々から避けられていた。


 中国語なんてわからないけど、スクイアットロが翻訳してくれたり、わからない単語とかあっても、なんとなくこんなことを話しているだろうと予想ができる。


「俺は、どこにいても一人だ・・・・」


 こうしているうちに、中国に人がいなくなった。

 俺が買い物行くだけでも、やっぱり、何かしろの事件が起こる。


「スクイアットロ、ここは無人島みたいだ」


「そうだな。


お主のせいで、事件が起きたからね」


 俺は、今の一言で傷をえぐられた。 

 だけど、事実なので、言い返すこともできなかった。


「俺、異世界に行こうかなって思っている」


「それは?」


「俺のせいで、人がいなくなるって言うのなら、地球にいることがよくない気がして、人間を犠牲にしていることに心が痛むんだ」


 自分では、どうすることもできない魔力。

 罪のない人の命を奪っている罪悪感。


 俺は、そんなことを考えているうちに、涙を流していた。


「お主・・・・?」


「人が死んでいくのは、いつだって辛いよ・・・。


だから、俺は宇宙とか、異世界とか、行く・・・・」


「何の解決にもなっていないが?」


「解決できないことは、こんなにも苦しいんだよ。


世の中、解決できないことがあるって言うけど、こんなの俺は耐えられない・・・・」


 俺は、この後スクイアットロに導かれるままに異世界に向かった。

 どうやって向かったとかわからないけど、気がついたら、瞬間移動していた。


 ここでも、俺の涙は止まらなかった。


「いつまで、泣いているつもりだ・・・?」


「俺だって、苦しいんだよ・・・・」


 どうして、涙が止まらないのだろう・・・?

 自分と関わりがない人だとしても、俺のせいで死んでいくって思うだけで、胸が締め付けられそうだった。


「体の方からボロボロになることを予想していたけれど、心が持たないというのは、想定外だな」


 こうして、スクイアットロにより、知らない場所に一瞬で転送された。

 多分、異世界だと思う。


 スクイアットロが巨大化して、俺を担いで、どこかへ連れて行った。


 どうしてこうなったかわからないけれど、俺は、心が持たない状態で、牢獄に監禁された。

 どうして、こうなったのかはわからない。

 俺は泣いて、泣き続けて、この後の記憶がないから。

 俺は理解しようとする気力さえ失せていた。



 ここで、スクイアットロと知らない男の人の声が聞こえた。


「上司、見てください。


死に寄せの魔力により、心が壊れてしまいました」


 言い方がきついスクイアットロが、なぜか敬語を使っていた。


 俺は、牢獄の中で顔を見る気力すらなかった。


「よくあることだ」


 男の声がしたけれど、多分、これがスクイアットロの言う上司という人なんだろう。


「しかし、この牢獄に連れてくるまで苦労したんです。


泣いてばかりで動こうともしないし、意識もそこになかったんです」


「事情は説明しなくても、よくわかっている。


死に寄せの魔力を持つ者は、こういったことが多い。


私は、こんなことに心を痛むところがあるが、慣れきっているつもりだ」


「はあ、おいらにはよくわからないのですが」


「貴様は、痛みに共感するところが欠如している。


だから、よからぬことを言っていないか?」


「よからぬこととは、どういったことですか?」


「自覚がないなら、いい。


説明するだけ無駄だからな」


 こうして、上司と呼ばれる人は、鉄格子の外にいるけれど、俺に近づいた。


「大丈夫か・・・・?」


 だけど、俺は返事ができない。

 その気力すらもないくらいだ。


 スクイアットロ以外は、俺の近くで死んじゃうんだ。

 研究所内でも、幼稚園でも、児童養護施設でもそうだった。


 だから、目の前にいる上司と言う人も、何かしらの事件に巻き込まれるんだ。

 俺の近くにいるだけで・・・。


「ご飯は、食べれるかい?


お腹がすいているなら、食事を用意したいのだが、何なら食べれそうだ?」


 上を見ると、男の人だ。

 低くくて、穏やかな声。


「お腹すいてないです・・・」


 こんな過酷なことがあって、何も喉に通りそうにない。


「やはり、ショックだったか・・・。


部下のスクイアットロから、話は聞いた。


周囲が消え去るのは、いつだって悲しい。


私も、君の気持ちがわかるよ。


だけど、ここでうずくまっても、状況が悪くなるだけ。


この魔力の原因がわかれば、君を解放させられるのだが、本当に何もできなくて申し訳ない」


「おじさんは、何者ですか・・・?」


「私の名は、コンディジオーネ。


世界の救済をするための活動をしている。


その方がわかりやすいだろうか?」


「救済で、どうにかなるんですか?


俺の魔力は、とんでもないんです」


「死に寄せ・・・か?」


「知っているんですか?」


「君が元いた世界では知られてないかもしれないけど、君からしてみれば異世界だろうか?


こちらでは、有名な話だ」


 俺は泣きながら、コンディジオーネさんに話した。


「この魔力のせいで、いろんな人が死んだんだ・・・。


たまたま、そこにいただけの人も・・・。


中国も無人島にしちゃったんだ・・・」

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