【酷すぎる話】“第3の人間”によって事態が不可解になったストーカー事件

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【酷すぎる話】“第3の人間”によって事態が不可解になったストーカー事件

私は最近、誰かにあとをつけられていた。いつも、数十メートル先に誰かの視線を感じる。振り返ると物陰に誰かがいるような気がするのだ。間違いなくストーカーだ。私は昔から変な人によく目をつけられるため、なんとなくそんな気はしていた。私が何かに夢中になっている時はいつも邪魔が入る。私は今、絶賛恋愛中なのだ。私は、近所のコンビニの店員さんに恋をしていた。彼の名は黒崎。ネームプレートには名字しか書かれていなかったため下の名前はわからない。背が高くて、笑うと白くて綺麗な歯が見えるのがキュンとする。みんなに平等で、お年寄りにも愛されている。あの笑った時の優しい目がたまらなく好きだった。おそらく、歳は私より上だろう。歳上好きの私にはわかるのだ。私は毎日そのコンビニに通った。そして、決まって紙パックのミルクティーを買った。もちろん、黒崎さんに認知してもらうためだ。

私は、仕事の帰り道にそのコンビニに寄るのが日課であり、密かな楽しみだった。どんなに憂鬱な日でも、黒崎さんに会うと元気が出た。最近では、軽く話すこともできた。


「いつもありがとうございます。今日はいつもより遅いですね」

「はい!今日は残業で少し遅くなっちゃいました」

「大変ですね。でも、あんまり夜遅いと危ないので気をつけて下さいね」

「はい!ありがとうございます」


今日はいつもより長く喋れた。距離も近くなり、私は幸せだった。しかし、せっかくの幸せもストーカーのせいで台無しだ。今日はいつもより接近している気がする。足音が近くなっていく。私は走り出した。すると、後ろの足音も早くなっていく。いつもは曲がらない角を曲がり、まこうとする。しかし、足音はピッタリとついてくる。もう!いい加減にして!と振り返ろうとした時、私は誰かに肩を掴まれた。


「キャー!ストーカーです!助けてください」


とにかく大声で叫んだ。すると、


「あ、ごめんなさい。驚かせちゃいました」

「え…」


なんと、後ろの足音の正体は黒崎さんだった。


「ついさっきバイトが終わって、あなたを見つけたので声をかけちゃいました。いつもミルクティーを買ってくれてる常連さんですよね?」

「あ!そうです!嬉しいです」


私は突然の出来事に嬉しさを隠せなかった。もしかして、今日は何か起こる日なのでは?と期待してしまう。ウキウキな私は長い時間立ち話をした。自分の名前や趣味、そして彼氏がいないことを伝えた。話が盛り上がってきた時、再び後ろから声が。


「誰だよその男…」


そこには、ロン毛でボロボロの作業服を着た中年男がいた。そして、手には刃物を持っており、私達に近づいてきた。


「そいつとはどういう関係だ」

「ちょ、ちょっとこっちに来ないで!」

「楽しそうに話しちゃってさ…ふざけんなよ」

「ち、違いますよ。この人はコンビニの店員さんで、それで…」

「うるさい!こっちに来い!」

「キャーー!」


中年男は走って迫ってきた。この男こそ、最近まで後をつけてきたストーカーだったのだ。

私は腰が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。


「大丈夫?!あの男は誰?」

「ストーカーです!最近ずっと後をつけてきて…」

「とりあえずこの場から逃げよう。立てるかい?」


私は黒崎さんの肩を使いなんとか立ち上がった。しかし、ストーカーはかなり接近してきている。


「先に行って!」

「で、でも…」


黒崎さんはストーカーを食い止めてくれた。しかし、相手は刃物を振り回している。素手の黒崎さんは不利だ。私達が襲われた場所は人通りが少ない一本道で、助けを呼ぶのは不可能だった。


「早く!走って逃げて!」

「は、はい!ありがとうございます!」


私は家に向かってとにかく走った。最近、ストーカーのこともあり、自分の部屋にオートロックを後付けした。防犯対策はきっちりしてある。家に逃げ込んで、安全な状態になってから警察には連絡しよう。とにかく今は逃げることが優先だ。


「バタン!」


誰かが倒れる音がして、私は反射的に振り向いた。すると、黒崎さんが腹部から血を流して倒れていた。黒崎さんがストーカーに、刺されてしまった。


「キャーー!黒崎さん!」

「来ちゃダメだ!せっかく逃げたんだ、戻ってくるな!」


私の足は勝手に黒崎さんの方へ向いていた。私は恩人…いや好きな人を置いて逃げることはできない。

私は黒崎さんのそばにかけより、持っていたハンカチで出血をおさえた。ストーカーは自分に飛び散った血で動揺し、座り込んでいる。


「お、俺は悪くないぞ。こいつが全部悪いんだ」

ストーカーは震えた声でぶつぶつ呟いていた。今がチャンスだ。この隙に黒崎さんを助けられる。


「出血がひどいわ…。近くに病院もないし…どうしよう」

「俺は大丈夫だから。早くこの隙に自分の家に逃げて」

「そうだ、私の家なら救急セットがあるわ。私の家、この辺なんです」

「救急セットって…なんでそんなものが」

「実は私、医療関係者なんです。応急処置くらいなら私にもできます」

「そうだったんですね…。うっ…」

「まだ動かないでください!出血が…」

「大丈夫です、一人で歩けます。早く逃げないと…。犯人は目の前にいるんですよ?また何をされるか…」


すると、放心状態だったストーカーはいきなり喋り出した。


「俺と結婚しろ…」

「え…?」

「結婚してくれればそいつを見逃してやる」

「わかりました…結婚でもなんでもします」


私と黒崎さんは、ストーカーに聞こえないよう小声で話した。

「ダメですよ…。結婚なんてしちゃ」

「わかっています。犯人を落ち着かせるための嘘です。今のうちに私の家に向かってください。今度は私が犯人を食い止めておきます」

「そ、そんな危険なこと!ダメです」

「このままじゃあなたが死んでしまう。いいから行ってください。私の家は、この一本道を左に曲がってすぐの黄色いアパートです。部屋番号は201号室です」

「わかりました…。ありがとうございます。では部屋の暗証番号を教えて下さい」

「はい。番号は2458…ん?」


私はピタッと固まった。


「どうしました?」

「なぜ私の部屋がオートロックであると知っているのですか?あのアパートは私の部屋以外は鍵施錠。普通なら鍵を貸してくれ、と言うはずです…。なのにあなたは暗証番号を聞いてきた…」


私の顔は一気に青ざめた。黒崎は無表情で固まっている。


「ちっ。しくじったな。最後の最後で凡ミスだ」


私は黒崎に口をふさがれ、腕で首を絞められた。


「んーーっ!!むーーっ!」

「おとなしくしろ。おい、ここは協力するぞ。このまま二人で家まで運ぶ」


ストーカーは一人とは限らない…。私はとんでもない勘違いをしていたようだ。私は、何も抵抗できないまま連れ去られ、ストーカー達に好き放題された。

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