第15話 カッパン病とプロフェッサー篠山

大原輝は、物欲の無い生活を崩した事が無い篠山教授の姿を見てきた。

今回は櫻守りとして人々の花見等の享楽を助けようと言うのかと、大原は感服していた。  


「カッパン病の予防策は、桜の木にダコニールを撒くんですが、そうすれば、その中にはテトラクロロロエチレンという化学物質が入ってますから土中の有益菌も一緒に死滅するから何の事は無い、まかない方が良いんです。」

 輝はテトラクロロエチレンを調べたが、人の生活に欠かせないが、ヒトの環境中に排出すれば、ヒトの健康のみならず生態系や地球環境への有害な影響が懸念されるとあった。

 人体に有害ならこれは脅威だ!コロナ星人のやつ、とんだ置き土産を置いて行きやがって!と、憤りを覚えたが、嘗て妻の礼子や元恋人の憤死を体験している輝ならではの想いだった。

 セラピストはリハビリ更生以外にも仕事はある。

受け持ち患者の訓練スケジュールを科長の荻野原に提出した端野際は篠山口に野際の想いを打ち明けていた。

「ダコニールを人体に点滴すれば良いかもね・・・。」

徒ならぬ野際の考えに篠山口は異論を唱える。

「それってゴキブリの殺虫剤を希釈しないでオマエに注射するようなもんやろ?バカバカしいよ、金田一部長が聞いたら頭を抱えて嘆くやろなあ。」

「荻野原をチラ観して尚も野際に話し掛けようとしてデスクの前で突っ立っている野際にクルッと椅子の向きを変えた時、「尻沢さんが待ってるぞ?早く早く!]

ポンポン! と野際の尻を叩いて受け持ちの患者の待つリハビリ会場へと出て行った。

「ストイックやね、仕事に対して前向きでいつも何かに集中している荻野原科長を目標に頑張りなさい。」そう言って篠山口もリハビリ会場へ出て行った。

「アイアイサー、分かっテルオ。」胸中で呟きあかんべーをしていた。

 輝はローイングをしていた。

「両肘を水平に引き真中に寄った肩甲骨を開く様に押し出すと麻痺側の左腕は前に動く。」

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