第184話 家出

親なんて関係ないと


あなたは言う


ふたりでこの街を出ようと


あたし、嬉しかったけど

きっとさいごは、、


寝台列車に乗って

あなたは寝てしまったけど

あたしは車窓から

淋しい月を見てた

まるで、あたしのよう


知らない漁港で暮らしだした

水商売はやめてくれって

だから、漁港で働いた

辛くなんかなかった

みんないい人だっからね


あなたは工場で働いて


初めはままごとみたいでね

ふたりとも、しあわせだっんだよね?


なーんか、きっとさ、続かないって


だんだんとあなたはイラついて

飲まないお酒を飲むように

あー、だめなんだな、、、

きっと


漁港の仕事から帰ったら

ごめん

と一言の紙切れがあった


謝らなくていいのに

ほんの少しだったけど

しあわせだったから


あたし、夜の商売に戻った

お客さんの高いお酒を

しこたま飲んでやった


酔いどれて歩けば

月がある

ばかやろー

見てんじゃないわよー

ほっといてよー


ごめんなさい

お月さま

そうよね、あんただけが

あたしを見守ってくれてるんだもんね


ねぇ、お月さま

あたしを連れてってくれないかなぁ


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