第140話　鈴虫

夜店で売ってたんだと虫籠を差し出した


そう、この鳴き声は鈴虫ね

昔、祖母が育ててたわ

スイカがあるからあげましょうか


貴方は、ああ、、。

生返事で風呂場へ行くのよね


それって逢瀬の痕跡を消すためよね

あの人、鈴虫が好きなのね



貴方が帰らぬ夜に鈴虫が鳴く

今頃、ふたりで音色を聴いてるのよね


私はひとりきりで夜の公園まで歩いてく

虫籠から鈴虫を出してやったわ

そうよ、公園で鳴けばいい

私のところで鳴かないでさ


カメレオンを歌いながら歩く

これって貴方のことを歌ってるわ

うふふん


ざまあみろ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る