第92話 桜姫の鬱愁

妾の花衣

雨、風で飛ばされていった


土に堕ちし花衣

人間共が踏み荒らす


なぁ、屋久杉のじいよ

なぜ、妾はこのような目にあうのじゃ


梅の主よ

お前様は、実をなされたのじゃな

人間共が言うておるわ


今年も実をつけてくれた

甘露煮にしようか

それとも酒につけようか

ありがたい、ありがたい


梅の主よ、お前様は実を落として

大地に育ててもらうのじゃろ


妾は人間がこの身を切って

大地に育てさせるのじゃ

妾は人間がいなければ

後の世に魂を残すことが出来ぬ


屋久杉のじいよ

妾は人間を惑わせる

そして、妾の分身を残す


妾に罪などない

そうではないかえ




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