恋燦々
筆入優
恋燦々
私は、恋焦がれてしまいました。
同じ部活の二つ上の三宅先輩をたまらなく好きになりました。体の奥底が熱くなるのを感じて、これが恋なんだって、高校一年の夏に初めて知りました。
それは心地の良いものでした。頭の中が先輩で満たされ、ベッドに寝転んでいると横に彼がいるところを想像してしまいます。
体の奥底から炎でも沸き上がるような、強い衝動のような、一筋の光のような何かに心を奪われ、焦がされました。
そんな私が、先輩をより強く意識するようになったのは秋頃です。その頃の私は、体がずっと火照り続けるような、ぼうっとした感覚がぬぐえずにいました。目眩もしました。病院で検査してもわからなくて、念のために入院することになりました。
入院中、先輩は学校を休んでまで病室に来てくれました。ポカリやアイスなどといった体を冷やす物を毎日のように持ってきてくれました。私はその日々がたまらなく愛おしく思いました。まるで先輩が私のことだけを見てくれてるみたいで、また、体の芯が温まるような感覚に包まれました。
そんなある日、先輩は私にこう言いました。
「俺、実はさ」
一拍、間を置きます。
「後輩ちゃんのことが好きなんだ」
私の中でろうそくの火のように小さく揺らめいていた恋の炎が爆発しました。内臓が焼かれるような、だけど甘いような、不思議な痛みに私は快感を覚えます。喉元が焼けて喉が渇きました。ですが、腕が焼け落ちた私はポカリを手にすることができませんでした。
燃焼が進んで、ついには、全身が真っ黒に焦げてしまいました。ぼろぼろと全身が崩れてゆきます。もうじき脳も死ぬでしょう。いえ、この恋の炎に焦がされ、頭と共に焼け落ちてゆくのでしょう。
私は、恋焦がれてしまいました。
恋燦々 筆入優 @i_sunnyman
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