ふれあい

04 どうが送るよ

 10分以上待ってみたが、愛衣からの返信はない。リプくれたら3秒でオカズ動画を送るって言ってたのに、騙しやがってこのクソ女。

 俺は大きな溜息を吐き出し、パンツを穿き、立ち上がった。オカズを待っているうちに、そもそも自分が空腹であることに気付いたのである。単純に気分が萎えてきたこともあり、最終的に勝利したのは性欲ではなく食欲だった。俺は起きたばかりでお腹が空いている、そんな当たり前のことに気付かせてくれた、そこだけは愛衣に感謝したい。

 スマートフォンを布団の上に投げて、台所へ向かった。

 おかずは他人から与えられるのを待つものじゃなくて、自分で作るものだ。俺はとことん自堕落な生活を送っているが、自炊だけは人並みにやっている自信がある。とりあえずは美味いものを食って、それから今日という素晴らしきサボりの日をどう過ごすか考えようじゃないか。


 昼食のような時間帯の朝食は、買いすぎたもやしを始末するべく生姜焼きにした。

 調子に乗って作りすぎたような気もするがなんとか完食し、腹が膨れたところで、そうだニュースでも見ようと再びスマートフォンを手に取る。

 指紋認証が完了した瞬間、ホーム画面上にDMの通知アイコンが見えた。

「え?」

 普段はほぼ使っていない機能だ。このタイミングで俺にDMを送ってくるアカウントとして思い当たるのは、正直愛衣しかいない。通知を拡大して見たところ、やはり愛衣のアイコンだった。

 まさか……くれるのか。既に食欲を満たすべく大量のおかずを自作して完食した俺に、次は性欲を満たすためのオカズ動画を?

 萎んだはずの好奇心が、再び膨れ上がってきた。

 人目なんて無いのだが、なんとなくベランダのカーテンを閉めて、食器を台所に下げつつ飲み物を手に取り、部屋に戻って床に座る。ついでに深呼吸をする。

 おそるおそる、愛衣からのDMを開いた。

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