第59話:リーゼロッテの薬

再び受付に戻ってきた。

「私もパーティーに追加して欲しいんだけど?」

シオンさんは勇者だから、リーダーになるのかな?

「リーダーはリーゼちゃんだろ?」

何をバカなって顔で見つめられた。

リーダーはニニアさんだよ。

「え?聞いてないよ?」

だって、一番冒険者歴長いもん。

「いやいや、おまえさんがリーダーで登録されてるぜ?」

え?そんなはずは・・・

すっと目をそらすグレイスさん。

犯人はグレイスさん?

「まあ、エリュシオンにリリスとシオンを追加すれば良いんだな?」

うん、お願い。


「私を忘れています!」

ベリーさんは私の先生だよ?

「ベリーって王都の錬金術師長か?」

王都で一番ってっそう言う事だったんだね。

「元、です。今は弟子に押しつ・・・いえ、引き継ぎました」

強引に王都を出ようとしてたもんね。

「今は、リーゼロッテ様の弟子です!」

グランツさんが疑惑のまなざしを・・・

「この国の最高ランクの錬金術師だぜ?なんでおまえさんに?」

そう思うよね?私もそう思います。

枢機卿が修道女に弟子入りするようなもんだよね?

って、枢機卿も私の使い魔になったんだっけ・・・

これも呪いのせいなのかなぁ?

なんかおかしな力が働いてる気がする。


「リーゼロッテ様は私にも作れない薬をおつくりになられます」

ただの初級ポーションだよ?

ベリーさんならもっとすごい薬作れるでしょ?

高品質の上級ポーションとかも作れるよね?

「確かに材料さえあれば上級ポーションなども作れます」

そうか、材料がいっぱい必要なんだね。

私のは普通の初級ポーションの材料だから・・・

ちょっとおまけで入れてるのもあるけど。


「そうそう、おまえさんの作る薬な、今度から違う小瓶に入れてくれ」

なぜに?

「あれはギルドでは初級ポーションとして認められないことになった」

なんですと?

今ある在庫はどうすれば良いの?

「ギルドに納めてくれればこちらで瓶を入れ替える」

じゃあ、自分たちで使う分は瓶に入って無くても良いから、

瓶に入れてあるのはギルドに全部納めちゃおう。

アイテムボックスから取り出す。

星3つのが100個に、星4つは214個だね。

「そんなに持ってたのかよ!」

まだ樽でいっぱいあるよ!

ついでにポーションの入った樽を見せてあげる。

蛇口をひねるとポーションが出てきます。えへん。

「葡萄酒の樽に入れてるのか・・・」

これだと瓶に入れるのが楽なんだよ。


「中級ポーションや上級ポーションとも別枠だ。リーゼロッテの薬として販売することに決定した」

とうとう新ジャンルになってしまいました。

でも、鑑定すると初級ポーション・・・じゃない!


名前:リーゼロッテの薬

品質:★★★★

説明:HPが160回復。毒回復。麻痺回復。ほんのり甘くてすっきり爽やか。


鑑定結果の名前も変わってるんだよ!?

「こいつを初級ポーションとして販売すると紛らわしいんだよ」

そうか、それで初級ポーションの瓶が使えないんだね。

でも、これでようやくギルドで買い取ってもらえるの?

「さすがリーゼロッテ様!自分の名前を冠した商品だなんて!」

うう、ベリーさんの尊敬のまなざしが怖い。


「とりあえず、これが新しい薬の買い取り価格ね」

グレイスさんが価格表をくれた。

星3つが銀貨6枚で、星4つは銀貨7枚半。

ということは?

「全部で銀貨2205枚ね。金貨22枚と銀貨5枚よ」

おお、お金持ちだ!

これで、薬を作るだけで暮らしていける!

無限宿屋だ!

これなら工房とかも夢じゃないかも!

頑張ってお薬たくさん作ろう。

星四つまで出来たんだし、きっと星五つもあるよね?

まずはそれを目指そう。

水飴の品質上げたり、薬草の配合を変更してみたり、

まだまだ改良の余地はあるはず。

ベリーさんという新しい先生もいるし、

これからが楽しみだよ。


そうだ、グレイスさんにお土産あるんだけど。

「ああ、ギルドの職員は品物を受け取っちゃダメなの。気持ちはうれしいんだけどね」

そうなの?

せっかく美味しいものいっぱい持って帰ったのに。

「だから、お仕事が終わった後なら大丈夫なのよ!」

グレイスさんが両肩を掴んで離さない。

う、うん。お仕事終わったらね・・・

「マーシャさんの宿に行けば良い?」

そう言えば、まだ宿を取ってないね。

人数増えたし、大丈夫かな?


とりあえず今日停まるところを探さないとね。

「ご主人様は普段は宿屋に住んでいるんですの?」

そうだよ。

今までは1人だったから、1人部屋だったんだ。

「リリスと、ご主人様と、リズお姉様と、ニニアお姉様と、ベリーお姉様と、簀巻き?」

指を折りながら人数を数える。さりげなくシオンさんの扱いがひどい。

そうなんだよね。いつの間にか6人の大所帯になったんだよ。

もしかして、この人数だと宿屋に泊まるよりも家を借りた方がお得?

でも、宿屋だと掃除とかシーツを換えるのとか全部やってもらえるし・・・

家を借りると全部自分でやるんだよね。大変だなぁ。

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