第20話:初めてのダンジョン
やってきました東門。
この門をくぐればいよいよダンジョンだ。
このダンジョンは正式には「黒龍のダンジョン」と呼ばれている。
すでに退治されたらしいけど、昔はドラゴンがいたらしいんだよ。
ダンジョンの入り口に入ると、そこは自然の洞窟だった。
洞窟の壁がぼんやりと光ってる。
足元もゴツゴツしていて歩きにくい。転ばないように気を付けよう。
「ところで武器はどうした?」
アレンさんの質問はごもっともです。
ダンジョンに行くのに武装なしとか、
馬鹿にしていると思われても仕方ありません。
武器は重くて振り回せないので諦めました。
ちなみに同じような理由で防具もありません。
戦闘になったら本当に何もできません。
足手まといにならないように端っこに居ます。
目的地は近かった。
ダンジョンに入って30分ほどで泉に到着。
ここまでに魔物との遭遇はなし。
運が良いのかな?呪いがあるからそんなはずはないんだけど。
そもそも1階ではほとんど魔物は出てこないらしい。
これなら1人でも大丈夫かな?ここまで分岐もなかったし。
もしかして、泉の中って魔物いる?
「大丈夫よ。いないわ」
念のためニニアさんに確認する。
水を汲みに行って魔物にパクリは勘弁してもらいたいし。
アイテムボックスから桶を取り出して水を汲んでみる。
見ただけじゃまだ品質まではわからない。
コップに注いでアイテムボックスで鑑定。
名前:コップに入った水
品質:高品質
説明:コップに入ったきれいな水。黒龍のダンジョン第1階層で採取。
あれ?いきなり高品質の水だ。もう目的達成?
これはこれで樽に保存しておこう。
桶で十数回水を汲んで樽を満たす。
樽をアイテムボックスにしまうと表示が変わった。
今までアイテムボックスに入っていた樽が、
「水の入った樽」から「街の井戸水の入った樽」に変化した。
ちなみに、今入れた樽は「ダンジョン第1階層の泉の水の入った樽」だ。
名前が長い。でも、「水が入った樽」だと区別がつかないもんね。
他には泉ってないの?
「もっと下の階層にもあるけど、1階層目だとここだけだな」
ん?なんかムズムズする。あっちの方から怖い感じがする。
「何かしら?」
ニニアさんが索敵魔法を使う。
「風の精霊よ、我に徒なすものの気配を知らせよ!サーチエネミー!」
小さな声で呪文を唱えると、光の波紋のようなものが広がった。
「あー。確かにスライムがいるわね」
初めての魔物!
「どうやってわかった?」
わかんないけどムズムズした。
「野生の感かよ?だが信頼できそうだ!」
ムズムズする方に向かっていくと、
両手で抱えるほどの大きさのプヨッとした透明の塊が現れた。
これがスライム。
「スライムは炎の魔法が苦手よ」
ニニアさんが弱点を教えてくれる。
炎の魔法ならできるよ!
2人に見守られながら魔法を使う。えい!
じゅ
スライムをほんのり暖めた。
「ショボっ」
アレンさんは呆れてるけど、ニニアさんがびっくりしてる。
「ねえ、呪文の詠唱と発動コマンドは?」
え?そんなの必要なの?教えてもらってないよ?
確かにニニアさんもさっきは呪文を唱えていた。
「何で詠唱もコマンドもなしに発動するの?あなた何者?」
そう言われましても記憶がないので自分でもさっぱりなんだよ。
「今のってファイアボールよね?」
まあ、確かにそうなんですけど、見ての通りです。
「今度は詠唱してみて。教えてあげるから」
炎の精霊よ、我が敵に汝の力を見せつけよ!ファイアボール!
ヒュゴッ!
ジュオ!ズガァン!
スライムを倒した。
ニニアさんに教えてもらったとおりに詠唱してみると、
威力が桁違いだった。びっくりした。
なんて言うか魔法っぽかった。
今の本当に私がやったの?
「いやいや、スゴイじゃん!普通に使えてるよ」
ニニアさんが褒めてくれた。
でも、なんだか眠くなってきたかも・・・
すやぁ
◇ ◇ ◇ ◇
「おいおい、寝ちゃったぞ?」
リーゼちゃんがいきなり眠っちゃった。
もしかして魔力切れ?ファイアボール一発で?
そう言えば、この子のステータスって全部1だっけ?
MPは確か10。ファイアボールの使用魔力は15。足りないじゃん。
それが分かってたから詠唱とか教えてもらえなかったのか。
魔力切れで寝ちゃったみたい、アレンその子背負って。
「戻るのか?」
ここからなら、2階層の回復の泉が近いかも。
元々、泉の水が目的だったんだし。
「じゃあ、降りるか」
下への階段はすぐそば。
そして目的の泉も降りてすぐ。
さてどうやって飲ませるかな?
寝ちゃってるからなぁ。
ほっぺを突いていたら目を覚ました。
自然回復したのかな?
MP10だしね。
一応水も飲んでもらおう。
「このお水スゴイねぇ。冷たいのに、ぽわぁっとする」
この子って色々な感覚が優れてるのかしら?
何度も飲んだけど、そんなこと感じたことない。
エルフのこの私でも。
十分スカウトとしてやっていけそうだけど、
何で試験に落ちたのかしら?
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