第6話:スキルはアイテムボックスだけ

石板にはステータス以外の情報も表示される。

状態

呪い<成長阻害>

呪い<職業限定>

呪い<能力限定>

呪い<不幸吸収>

呪い<幸運拡散>

呪い<祝福封印>:本人以外非表示


スキル

無し


レアスキル

アイテムボックス


ユニークスキル

無し


その他

無し


スキルはないけど、呪いが一杯かかっている。

しかも見るからにヤバそうな名前のものばかりなんだよ。


呪いの解除もお金がかかる。すごい大金らしい。

それに、この街の神殿では解けない呪いらしい。

だとすると当分は呪われたままなんだよ?


一個だけある「アイテムボックス」はすごいらしい。

なんでも、たくさんの荷物を格納出来るスキルみたいなんだよ。

何種類か存在する収納系のスキルのうちでも上位のスキルとのこと。

グレイスさんが文献を調べて教えてくれたんだよ。


ギルドの人も初めて見たと言っていた。

噂には聞いたことがあるけど、実在するとは思っていなかったとのこと。

なんでも、中に入っているものの時間が止まるとか。


あったかいスープを入れておけば、どれだけ時間がたってもあったかいまま取り出せるみたい。

普通の収納系のスキルだと、時間がたってから取り出せば、スープは冷めるらしいんだよ。


しかも魔力を使わないみたい。

普通は出し入れするときに魔力を消費するらしいから、

魔力が少ない私としてはとても助かるんだよ。

試しに中身を確認してみる。

何も入っていなかった。がっかり。

とりあえず手に持っていたぼろ布をアイテムボックスにしまってみる。

ぼろ布が虚空に消えた。

取り出そうとして意識するとぼろ布が手元に戻った。

これは便利かもしれないんだよ!


それと、犯罪者ならここに犯罪歴も表示されるらしい。

とりあえず犯罪者ではないようなので一安心だ。

奴隷だった場合には所有者の名前が出るとのこと。

だから、脱走した奴隷でもないみたい。


それにしても一つだけ本人以外非表示の呪いがあるけど何だろう。

誰にも見えないということはこの呪いを解くことは不可能?


まあ、そんなことは良いとして、名無しじゃ登録出来ないらしいんだよ。

名前って自分で付けてもいいの?

「貴族の方が素性を隠すために偽名を使うこともあるから大丈夫よ」

なるほど。冒険者としての登録名なわけなんだよ。


名前ねー、良いのが思い浮かばない。

この見た目だから、

シロとか、チビとか、うーん、何か違う。


せっかくだから、かっこいい名前とかカワイイ名前とか!

「ニーナってどうかしら?小さな女の子って意味よ」

グレイスさんの提案だ。

うん、悪くない気がするんだよ?


でも、今は小さな女の子だとしても、そのうち大きくなるよね?

さすがにこの姿から成長しないってことはないと思うけど・・・

呪い<成長阻害>があるからなぁ。

名前の通り、ずっと小さな女の子になる予感が!

それだけは何とか阻止しないと!


「まあ、見た目っていえばよ、割と高貴な感じがしないか?貴族ってのとはちょっと違うけど」

どういう意味?

普通の人間とはちょっと雰囲気が違うとのこと。

まあ、そもそも人間じゃないみたいだしね。

エルフではないにしても、それに準ずるような妖精族なら、

人間とは違う雰囲気をまとっていてもおかしくないかもしれない。


それとは別に、あれだけの呪いを背負っているのだから、

それとなく何かがにじみ出ているのかもしれない。


「呪いがてんこ盛りなんだから、それを打ち消すような名前がいいんじゃねえか?」

それだ!

神様とかそういうのにあやかるような名前がいいかもしれないんだよ。

「じゃあ、リーゼロッテなんてどうかしら?確か、神の誓いとかそんな感じの意味よ」

お、なんかいい感じの名前なんだよ!

それにしよう!


「決まりね、これからはリーゼちゃんって呼ぶわね」

そう言ってグレイスさんは石板を操作して名前の欄にリーゼロッテと入力する。


今日からというか、今から私の名前はリーゼロッテなんだよ。

少なくとも本名がわかるまではこの名前でいよう。

本名が残念な感じでもこの名前を名乗り続けることにするんだよ!

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