第1章 ④
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河村と陽貴と何気ない会話をしながら歩き、学校へと着く。下駄箱で靴を履き替え教室へと向かった。
「でもまあ、2年の教室は2階にあってよかったよな。3階までわざわざ上がんの面倒くさくなかった?ほら、1年の時」
「あー、確かになあ」
「俺の元いた高校は逆だったわ。1年が1階」
「へー、高校によって違うんだな」
階段を上がって2階の廊下を歩きながらそんな話をしていると、あっという間に陽貴がいるクラスである4組へと着いた。
「あ、おはよー陽貴、翔太、河村」
先に学校に登校し教室内で談笑していた亮と直哉が俺達に気付き嬉しそうに駆け寄ってくる。
「珍しいね、3人一緒に登校なんて」
「ああ、来る途中で会ってさ」
俺の言葉に亮がそっかと言い微笑み、その直後に朝のホームルームを告げる予鈴が鳴った。次々と生徒達が席に戻っていき、遊びに来ていた他のクラスの生徒達も元の教室へと戻っていった。
「じゃあまた昼ん時なー」
「おう」
手を振る亮達に手を軽く振りつつ、俺と河村は4組の教室を後にした。2人で俺のクラスの2組へと向かう。
「ーー別クラスになって残念だよな」
河村に話しかけられ俺は頭をぽりぽり掻きながら口を開く。
「ああ、まあな…。でも寧ろよく今まで一緒だったよなって思うわ。小学校も6年間同じクラスだったし、中学校は3年の時だけ亮と直哉とクラス一緒だったしな」
「その点俺は中学から翔太と一緒だけどずっと同じクラスだよな」
「言われてみれば…何気に凄いな。まあでも今回も河村と一緒のクラスになってよかったよ」
「俺も」
「高瀬ー」
河村と廊下を歩いていると後ろから俺を呼ぶ声がし、軽く振り向く。振り向いた先には出席簿を手にした宮本先生が立っていた。相変わらずマスクをしていて花粉症だろうと考えていた俺は本当大変だよなあ、と宮本先生を気の毒に思った。
「なんですか?先生」
「日本史で出した課題、提出できてないの高瀬だけだぞ。今日中でいいから俺の所に提出して来い」
「あ、はい」
やべえすっかり忘れてた。昼休み中に日本史しなきゃだめか…?
そう頭の中で考えていると宮本先生がふと俺をじっと見てきた。マスクをしているから表情はよく分からないが
「……」
俺を見るその目が何か物言いたげに細められた気がしたので、俺はん?と首を傾げる。
「…持ってくるの忘れるなよ」
そう口にし宮本先生は俺からすぐに目を逸らし教室へと入っていった。
「…?」
「なにお前、まだ日本史の課題出してなかったの?」
馬鹿じゃん、と俺の隣で呆れながら言う河村を聞き流しつつつい先程の事を考えるが、まあ気のせいかと思う事にし自分の教室へと入った。
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