ケビン・ラクーン・ショー

@rrrapa

「爆発病院」

 こちらは、トテチテタヌキのケビンです。今日は病院に来ているようです。

 オヤッ、ケビンが担いでいるラッパ銃が話し始めましたよ。

「ちょっとアンタ! 今あの看護婦さんのこと見てたでしょ!」

 イチャモンです。ラッパ銃のケイティーはケビンのことがすきなのですが、それが過ぎるあまりこのようなことを口走るのです。

 しかし、ケビンもケイティーのことはすきですから、そんな浮気性みたいなことはしません。必死で首を横に振りました。ですが、ケイティーも引きません。

「嘘つき、このッ、殺してやるッ!」

 ドッカーン!

 物騒なことを喚きながら看護婦さん目掛けてラッパ銃をぶっ放しました! アア良かった大丈夫、看護婦さんは偶然かがみ銃弾を回避。良かった良かった一安心――できそうにもありません。銃弾は棚へ直行。何やら危なそうな薬のビンに直撃!

 あれは何の薬? 何々・・・・・・「混ぜるな危険」? アッ、こりゃマズイッ!

 ドガーン! 発砲とは比べ物にならないほどの轟音が病院を揺らします。看護婦さんも辺りの患者さんも吹き飛ばして大爆発!

 波が押し寄せるように一気に炎が広がり、火の化け物が唸っているような声で火災警報器が鳴り響きました。アァ、えらいこっちゃえらいこっちゃ。ケビンは悲鳴を上げ、慌てて逃げ出します。避難経路なんて知ったことか、ケビンは壁を突き破って外へ逃げ出そうとします。

 型抜きのような穴を作りながらケビンは走ります。ンッ? アラ、マズイ! ケビンが向かっている先、図面によれば、あそこは、多数のガスパイプが通っているのです!

 そんなことはつゆ知らず、ケビンは走り抜けます。もう、次の壁を突き破ればガスパイプです。アメフト選手が如くケビンは突撃!

 またまたドッカーンッ!

 今度は威力がチョー高い! 炎は窓を突き破り、ドアを蹴飛ばし、廊下を駆け抜けていきます・・・・・・おっと、ご婦人に道を譲りましたね。意外と紳士なようです。

 その勢いで病院は空高く舞い上がる!

 鳥を追い越し、飛行機に手を振り、星空を突き破って進みます。月にぶつかりました、次は火星にぶつかりました。フォボス、ダイモス、ピンボールのようにぶつかりながら、とうとう地球へ進路を変え、真っ逆さまになって垂直落下していきます。

 ケビンは病院の中で浮きながら慌てふためきます。どうしようどうしよう、なんとか助からないものか、そうだッ! 突飛な考えを思いつきました。

 早速ケビンは落ちる病院の中を泳いで進みます。そして、薬品棚まで泳ぎ着きました。犬かきならぬ、タヌキかきです。

 ある薬品を全部かき集めて、窓から外に出ていき、自分の下側に並べました。そして、ケイティーを薬品に向けてぶっ放しました!

 ドッカーン! 無論薬品は爆発し、運動エネルギーを四方八方にまき散らします。そう、上方向にもね。ケビンはその上向きのエネルギーでうまいこと着地しようとしたのです。

 が、ケビンは爆発そのものが脅威であることを忘れていたのです。

 病院はそのまま落下し、真っ逆さまになってしまいました。そして隣には、地面に埋まって、頭の上で星をクルクルさせているタヌキがありましたとさ・・・・・・。

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