第17話 解装

前回の続き、不思議な部屋に入った千聖は試練と称され魔獣に戦いを強いられる完全に身体が戻らない状態の中。千聖は一気にソディアスを解放をした。


「FEEL IV V Limit OVER」


眩しい光が辺りを一面に反射される

「コレハ、ジンキノ、カミノヒカリ!マサカコヤツハエイユウノチヲツグモノ!」

驚きに呆気に取られる魔獣を前に

「ソディアス、今からお前の望みは叶う...だが、目の前にある試練を乗り越えるためにお前の力を貸してほしい!」

「···うん、いいよ。有言実行してくれたから、私の全部チサにあげる」

「ソディアス!!!」

眩しい光が凝縮していき、クルーズ船の戦闘の同じ片翼の生えた千聖が姿を現した。以後半覚醒状態。

「サァ、シレンノカイシダ!」

魔獣は突如として、複数の腕を千聖目掛けて飛ばしてきた。それを飛んで避け腕に乗って持っていた剣で引き裂いて行く

切り終えて魔獣の背後によると、

「白咲流 光術 逢花斬衝 白凪」

横一線に切りつけたが、そこからから腕が無数に生えて、千聖目掛けて再度襲ってくる。空中に飛んで、襲いかかってくる腕達を避けていく。

空中で身体をねじ曲げて

「白咲流 光術 抜刀嚆矢 神刃」

狐線上に曲がった光の刃が魔獣を引き裂いていくが、すぐに再生。

「まるでイーター種と戦っている感じだな厄介きまわりない」

深く深呼吸をすると半覚醒状態の身体が光をます。そして、

「白咲流 旺術 廻開白識 甲破切迫魈」

不思議な部屋全体が白い花に覆われて次々に散ってゆくと、花弁が鋭くなって魔獣に突き刺さっていき、最後に千聖の拳1発で弾け飛んだ。


一方島に上陸した一同。砂に埋まったものに気づくと

「?、これは千聖様の無線機!」

「確定したな」

「では、あの通信は間違いありませんね」

「じゃあ、ここのどこかに千聖くんが」

「辺りを散策する。何かあったら逐一報告しろ」

と、教官が言った途端、地面が揺れ始め地響きを起こし始めた。

「な、何!?」

「お、おうおう」

この地響きはかなり大きく、立っているのがやっとくらいだった

揺れが収まると、

「島の中央から来たようだ、探すなら一旦中心部に行た方がいいだろうな」

「なら、そうしましょう、何があるか分からないわ」

そうして、一同は島の中心部を目指して草木たちの間を歩いていく。

すると、千聖の入った階段を見つける

「先が見えないね」

「ここに入って行ったんですかね」

先の見えない階段を覗き込むと続々と動物達が一同を取り囲んだ。

「え!何!?」

「まさかこんな小さな島でこれだけの動物たちが生活しているとは驚きだな」

「けど、好意的じゃなさそう」

「そうだね、何故が睨んでるね」

「ヴヴヴ、アウ」

隻眼の狼が暗い階段に入れと言わんばかりに首を振る

「え、ほんとになんなの?」

「···この中に入れって言ってるんと思います」

「まさか動物たちの言葉がわかるのかい?」

「あ、いえ、雰囲気です」

「じゃ、だったら中に入っていきましょう、この先に千聖がいるのならね」

「うん入ろう」

フランの脚は階段を下っていき、その後をみんなはついて行った

「私達も同行しますか?」

「そうだな、中がどうなっているか確かめる必要がある」

そうして、教官たちも入ろうとするが隻眼の狼が威嚇して、たち塞いだ。

「どうやら、あの先にはオッドアイ能力者しか入れないようだ」

「彼女たちを無事を祈りましょうか」

前回の千聖のように、暗く長い階段を下っていく、スマホのライトで照らしているが、

「本当にくらいですね!?」

「照らしても先が見えないなんて一体どこまで続いてるの?」

「?、すみません壁を照らしてもらってもよろしいでしょうか?」

「え、うんいいよ」

美希がスマホで壁を照らすとそこには

「え、血!?」

「まさか千聖の!?」

「···これは、そうですね、これを辿れば、千聖様のところに行けるかと」

「これは少し急いだ方が良さそうだ、だが、慎重に行こう、何があるか分からないからね」

そこからも段々下っていき、奥深い古い書庫にたどり着いた。

「また、なんか変な場所に出たァ!!」

「これは、天井高くまで本が並んでいるな。見たところ古文書ばかりだな」

「どんだけ古いのよ。ここ」

「でも、フランちゃんは楽しそう目がキラキラしてる」

「危機感を持って欲しいわね」

「···!皆さんこっちに血が続いています。奥に進んでみましょう」

床にベットりと着いた血をたどって奥に進むと、巨大な扉に阻まれた。その先にどん、どんと脈を打つような音が聞こえてくる。

「この先で戦ってるんですかね?」

「下手すると千聖が?」

「でも、ここどうやって開けるんですか?」

「さすがに頑丈な扉だ。そう簡単には...」

凪紗が巨大な扉を見上げていると、巨大な扉にヒビが入り始めた、そして、一同が驚くと、扉が崩れ落ちた

「え、何が?起きたの?」

凪紗がセリフを言っていた時にフランの両目が光り輝き、扉を破壊していた。

砂埃が舞って、収まりきると見えた光景は、千聖が魔獣を倒した後だった。魔獣が塵と消え、千聖が倒れた。

「千聖くん!!」

一同が倒れた千聖に駆け寄ろうとすると右手に持っていた剣が光り輝いて独立で動き出し、千聖の身体事勢いよく奥の謎の装置に剣がぶっ刺さり、輝きが増した。光が落ち着くと、見知らぬ少女が倒れた千聖の中に入った。

「一体なんだったのよ」

「と、とりあえず、千聖先輩を持っていきましょう。」

「え、でも持てるの?」

「サイボーグのスーツは来ていないはずなので皆さんが想像している以上に軽いと思いますよ」

「なら、皆で協力して運んで行こう」

「そうだね」

気絶した千聖を交代交代で運んで行き、

地上まで出たところで、

「ほう、救出はできたようだな、直ぐに船に運んで治療するから、持って行ってくれ」

「了解致しました。では、皆さん早速行きましょう」

千聖を抱えて、船の医務室に運んで包帯で身体をぐるぐる巻きにがっちり固めて、ベットに寝かせた。

「···ちさ」

心配の目で千聖の手を握るフラン

「大丈夫だよ、フランちゃん。千聖君のことだから、ちゃんと元気になってくれるよ」

「・・・」

「どうやら、治療も行ったようだな、とりあえず何かあったかだけ、教えて欲しいからホールに皆集まって欲しい」

教官の指示の元全員がホールに集まって話をする。

「なるほど、古い書庫か、古代文明の残り物と言ったところか、それだけか?」

「見たのはそれだけです。あとは溝のある巨大な扉があったくらいです」

「ふぅーん、未知すぎるなぁ何故テロリスト達は、何故ここを狙おうと思ったんだ」

「千聖さんが入手した資料の中に初代オッドアイ能力者が使っていたとされる古代の聖槍ガラティーンがこの島に眠っているとされていました。」

「いましたって、なんで過去形?」

「あぁ、それはこの島って地図に載っていない島なんですよ」

「え?じゃなんで?」

「今回わかったのは奇跡に近いです。見えなかったのはなんかしらの幻覚の能力が働いていたようですから、見つからないのも必然でした。そして、通信障害も何らかの能力の働きによるものでした」

「へぇ~、じゃ、謎は溶けたってわけね」

「これに関してはだがな、まだ解明されてないこともある。···とりあえず、今回の任務は完了した。あとは千聖の回復を待つだけだ。それまで自由にしていていい···解散」

ホールを出て、みんなが向かう脚は

「では、ひとまず千聖のところに行こう」

「さすがにまだ、寝てますよね」

「さぁ、どうだろう、千聖君のことだから起きてそうでもあるけど」

「まぁ、入ってみれば分かるでしょ」

ドアノブに手をかけたところで数分前の千聖が寝ている部屋にて

「ねぇ~え、そろそろ起きようよ···チサァ~」

「待て待て、主は限界を迎えておったんじゃ、しばらくの間は安静にして置かんといかん」

「むぅー、それは分かるんだけど、起きないと心配だよ」

「そうは言ってものぉ、···」

寝ている千聖に馬乗りにソディアスが乗って、ガラティーンが千聖の横で寝顔を眺めながら椅子に座っている

と、その時だった、勢いよく扉が開いて

「誰!!」

「動かないでください!!」

真希が銃を生成させ、構え

舞夜は黒剣を持って、警戒する

ソディアスとガラティーンは怯えることなくキョトンとする。

「?」

「?」

「···まてまてまて、ワシらは剣や銃を向ける相手では無いぞ」

「その言葉が信じられると思っているのかしら」

「···なら、ワシら2人を殺せば、もれなくこの男も死ぬぞ···それでもいい良いのかノ?」

「・・・ここは納めよう、どうやら本気のようだ」

「···」

「···わ、わかった」

武器をしまった2人、そして、ガラティーンとソディアスに真相を聞く

「さて、こっちが聞きたいことをまずは教えてはくれないか?」

「うん!いいよぉ!···私はソディアス、ソディーって呼んで!、今までチサの身体の中で、見守ってました。皆のこと」

「わしは、そうじゃのぉ、ガラティーンとでも呼んでくれて構わん」

「・・・え!?」

この名前を聞いた一同は驚愕する

「ソディアスって」

「それにガラティーンというのも」

「何故、古代の聖槍が、幼い少女の容姿をしている」

「ソディアスって、武器じゃなかったの!?」

「だから!ソディーって呼んでってば」

「ダメ、全くもって状況が把握出来ないわ」

「同じくです」

「うーんどう説明しよっかな」

「まぁ、落ち着け、皆の者、お主達は主が心配で戻ってきたのじゃろう」

「うん、そうだけど」

「すまぬが、一晩は目を覚まさぬ」

「そうか、なら、しばらくはこのままで待機としよう、しかし色々と疑問があるだろうからその間2人には私たちにあらかた説明をしてもらいたい」

「いいよぉー!」

「わしも説明するだけなら構わぬが主から今は主と離れることが出来んから、またの機会にしとくれ」

「だったら、ここで説明してくださいよ」

「・・・それもそうじゃの」

そうして、2人の説明を真剣に考えて聞く一同

「じゃ、まずわしから行こう。わしはお主たちがいう古代の聖槍の中宿る魂が主の力を得て、具現化した姿がこれじゃ」

「つまり、本来の姿ではないと」

「まぁそうじゃの、槍の姿も本来違うものじゃ、槍が急に喋ったら怖いじゃろ」

「まぁ、そうだね」

「そして、主と契約して、離れることが今はできないじゃよ」

「契約(。っω-。)?」

「まぁ、主が起きてから詳しいことは話そう。」

「じゃあじゃあ、私言っちゃうね!チサの身体の中でずっと見守ってました。」

「???」

ソディアスの勢いと明るさに言葉を失う一同。

「もしかして、貴方は千聖様の装甲になっていたのですか?」

「うん、そうだよ、舞夜の『ツクヨミ』も私の力の1部」

「!?」

「えへへー」

「?でも、待ってください、何故装甲のあなたが人の姿になっているのですか!?」

「それは、私のかけたリミッターを全てをチサが解放したことによって、チサの身体から離れて私が本来の姿になったの」

「どういうことだか、あんまり理解できないわね」

「う~んと、チサが起きないと私もなんとも言えないです」

「とりあえず今言えることは千聖が起きないと何も始まらないよ」

「そのようだ、今は回復を待とう...」

「お2人のことを教官にお伝えしてもよろしいでしょうか?」

「良いぞ」

「同じくぅ」

「はい、承知致しました」

「私も同行しよう」

「はい、頼もうと思っていました。行きましょう」

「じゃ、私は部屋で休むわ」

シアは自室に戻り、舞夜と凪紗は教官たちの元に報告に向かった。残った皆は千聖の寝ている医務室で待機していた。

「千聖さんの寝顔って、珍しいですよね」

「ちさはそうそう寝てないから...朝の四時にはもう起きてる。」

「ハヤっ!」

「呪いで寝れないからしょうが無い!」

「え!?」

「チサはね、呪いで悪夢を見ちゃうのそのせいで寝ようにもすぐ起きちゃって睡眠時間を取ろうにも取れないから、ずっと起きてるんだ...けど活動限界が来た時だけは短めではあるけど、睡眠が取れてたんだ」

「それ、さぞ辛かったですよね」

「うん、チサとお話できる機会がそこしか無かったから辛かった!」

「・・・あなたのことじゃないんですけど」

「千聖くんってこれからどうなるの?」

「正直・・・わかんない私から離れたから、最悪今まで記憶を無くしている可能性もある」

「!?」

「本当にわからないよ。チサが起きてからじゃないと判断がつかないから」

「・・・まぁ、あれじゃ、主が起きるまで焦らず行こうではないか、追求するのはその後でじゃ」

バタンと扉が開いて

「?、、報告は済んだの?」

「あぁ、2人の件はもう言ってきたよ」

「ハヤっ!」

「しかし、全くもって起きる気配がないな」

「そりゃそうじゃ、身体に蓄積していた疲労はとんでもなくあったからのぉ...こうなるのは必然じゃ」

「一晩は寝かせてあげましょう、こちらが急かしては行けませんから」

そうして、全員医務室で一夜過ごした

夜明けを迎えようとした頃。

「、、、」

千聖が目を覚まして、起き上がった

「(?どう言った状況なんだこれ?)」

医務室にはみんなが様々な姿勢で眠っていた。

「(とりあえず、外の状況でも見るか)」

「zzz」

皆が寝ている中、裸の千聖は医務室にある患者服を来て外に出る

「やはり、船の上...か」

まだ薄暗い光景のなか船に揺られ、黄昏れる千聖。そして、その背後に近く。

「起こしてしまったか?」

近づいて来る気配を感じて後ろを見る

「...いや、この時間は起きている時間だったな・・・フラン」

「...ちさ」

「そう、悲しい表情をしないで欲しい見ての通り歩けるくらいには回復している」

「(そうじゃない、そういうことを聞いてるんじゃないの)」

「?...」

疑問を持った千聖は、ゆっくりと歩いてフランに近づき、抱きついた

「では、心配をかけてすまなかった。フランたちから一生離れるのは心苦しいと思ってはいたんだが、呪いには打ち勝てなかった」

抱きついて来た驚きと共に、嬉しいさの涙が流れた。そのまま千聖の胸に泣きじゃくり、朝日は完全に登った。

そうして、数時間後医務室で真希が起きて、千聖が居ないことに気づいた

「え!千聖が居ない!!、、あ、フランもいない!!」

真希の大声で、寝ていたみんなが目を覚ます。(眠華以外)

「どうした?」

「居ないだって、千聖とフランが!!」

「あれ?本当だ、」

「出ていく気配なかったのに」

「しかも2人ともなんですね」

「はて、どこに行ったんでしょうか?」

みんなが議論している時だった

真白の両目が光を顕にし、ふたつの光が座標となって現れた。

「!?え、えっと、2人の場所わかりました」

「能力が覚醒したようですね、真白さんを信じて、その場所に向かってみましょう」

そうして、医務室を出た。一同は真白の先導のもと、甲板に辿り着く。扉を開け辺りを見回すと壁に背につけて寝ている2人を見つけた。2人に近づき覗いてみると、千聖に腕枕され穏やかに眠っていた。

「こんなところで寝てるなんて」

「なんか、千聖先輩に抱かれながら寝るなんてちょっと羨ましい」

「君たち、それ以前にここで寝ていたら風邪を引くということは考えないのかい」

「あ!?...」

皆の話し声に気づいて目を開ける

みんなに気づいて、顔が急激に赤くなってあたふたしている。

「大丈夫ですよ、フランさん。私たちお2人がいなくなったから探しに来ただけですから」

「...」

「とりあえず、身体が冷える前に中に入って状況の確認をしよう、舞夜。教官たちを呼んできてくれ。私たちは寝ている千聖を移動させよう」

凪紗の言葉通りに舞夜は教官の所へ

皆は寝ている千聖を抱え持っていく。

そうして、シアを除いた全員が会議室に集まった。座らせた千聖が目を覚まし

「?」

まだ、朦朧としている意識のなか、

会議は始まった。

「では、主の話をしよう。」

ガラティーンから放たれた話はそこにいた全員を驚愕させた

「今の主二度死んでおる。1度目はソディーの方が詳しいじゃろ。そして、2度目は皆が見た通りじゃ。そんな状態なのに未だ生きているのは、ソディーのおかげじゃの」

「うん、チサの持ってた呪い全力で止めてたから。まぁ、でも止められなかったけど。チサは幼い頃の酷い傷を負って本来そこで人生が終わってたの。けどそこを私が止めたの。」

「!...もしかして、それって!!!」

ドタンと机を叩いて勢いよく立ち上がり

「そうだよ、チサの身体を傷だらけにしたのは間接的でもフランがやったんだよ」

「間接的?」

「幼い時、いじめから助けてくれたちさが、疑いかけられて、第1王女に拷問を受けて、治らない傷をたくさん負った。」

「千聖先輩何も悪くないじゃないですか、その第1王女、クソですね」

「···」

愛美の言葉に全員口を閉じた

「うん、まぁ今も古傷として残ってるよ、時々成長と共に古傷が広がって痛い時があるみたいだけど」

「そういうことじゃったのか、主は悲惨な人生を送っておるのじゃな」

「そうだよ、私が見てきた中で残酷で悲惨な人生を送ってた、それが終わるはずだったのに、終わらずにここに生きてるってことは、どこかで呪いが消失してたってことになる」

「それが、可能なのはフランしかおらぬ。お主の破壊の能力が主の呪いを壊したんじゃ」

「···生きてるんだからそれでいいんじゃないの?」

「確かに17歳で居なくなるのと、先があるとじゃ大違いだよね」

「そうとも言いきれないの、チサの能力全部解放されちゃってるから」

「そんなに落ち込む能力なんですか」

「えーとぉ、チサに限らず、初代オッドアイ能力者の血を継ぐ者たちは同じ能力を受け継ぐの、それが全能。言葉の通り、真希と舞夜の能力以外全て使えるの、ただ欠点と言えば、日頃から使ってないと封印されるところなんだけど、案の定チサは半分以上封印されてた。」

「けど、それが今は使えているってことですか?」

「うん、そう」

「ちなみにですが、何故私と真希さん以外の能力を全能として扱えるのですか?」

「それは、後々詳しく話すよ、今は2人の能力は初代にはない能力だったからとしか言えない。」

「そうですか、なら話せる時がきたらお願いします。」

「改めてだが、2人のことを確認したい」

「いいよぉー」

「良かろう」

「みんなには言ったけど、私はチサを守護する全能の神。今ここに立っているのは本来ならあの船で役目を終えるはずだった。けど、生きているからこれからも見ていかないと行けないのでいます」

「・・・ふむ、ではワシが行こう、お主たちが言う古代の聖槍そのものガラティーンじゃ、今は主と契約して、人の形を取っておる。恐らくじゃがあの『ムスニカ』が狙っておったのはワシじゃな」

「???」

「おっと!この名称では通じなかったのお主らが言う船で襲っていたイーター種と言うやつじゃ」

「?何故イーター種の存在を知っている?」

「まぁ、昔からいるやつなんじゃよ、数は少ないがの。イーター種は呼びずらいからムスニカと呼ぶぞ。···何故ムスニカが生まれるかじゃが、血が順応せず反発を起こすことで器が持たず、暴発して適正な器になるんじゃ、理性知性共に無くし、ただただ血を求める狂乱者になる訳じゃな。まぁ、船で出てきたやつはかろうじて順応していたようじゃがな。」

「まぁ、それに関してはこちらはわかっているからいいが、狙う理由はなんだ?」

「さぁの、現状わからんとしか言えん。わしから言えるのはこれくらいじゃな」

「私からもこれ以上は言えない。あとはチサから言ってもらわないと」

皆の視線が千聖に向けられる意識が朦朧としていたのがだんだんと良くなって

「···話はだいたいわかった。だが、俺から何を言えばいい?」

「あぁ、そっかあんまり覚えてないんだもんね、チサに言わせるのは難しかった。···えっとぉ、この話無し!!」

「え、そこまで振っておいてですか?」

「うん!」

「仕方がない、今日のところはここまでだ、デューク。お前は私たちと来い調べたいことが山ずみだからな」

「···了解」

「君たちは引き続き休んでいてくれ」

そうして、長い会議は幕を閉じ、千聖は教官たちと対面で話していた。

作戦司令室『仮』。

「デューク、お前が生きていることは快く思うのだが、逆に厄介なことも産んでしまった。」

「厄介とは?」

「お前が引き起こした。あの強大な攻撃。あれがガレムのお偉いさんたちの目に止まってな、私たち組織を止める算段が下った。」

「ということは、テロリストの脅威は少なくなったとしても、今度は国から狙われるわけですか?」

「あぁ、今はそう思っていていいだろう」

「俺の行動がまた皆を巻き込む形になってしまうのか...」

「···デューク、組織の見解を伝える

これから先は、残りの学園生活を謳歌しろ」

「!···テロリストの脅威は無くなった訳では無いのに、そんな悠長なことしていてもよろしいのですか!?」

「ココ最近のテロリスト襲撃は全て留紫亜友永が主犯だった。つまり残っているのは残党だけだ。残党だけだったら一等部隊や二等部隊でたりる。特殊部隊は指示があるときのみの出動とする。わかったか?」

「···了解」

「伝達は以上だ、しばらく、ゆっくり休め」

「···はい」

作戦司令室『仮』を出て、船内を進む

歩いている最中、黄昏れ付いたのは甲板だった。

外は日差しが照りこんでいるが風は冷たい。そんな中患者服で壁に寄りかかる千聖。

「これから、俺は何をすればいい?この朽ち果てるはずだった身体で何が出来る。テロリストの黒幕を倒したところでオッドアイ能力者に対する差別や虐待が無くなった訳じゃない。結局のところ人というのは優劣をつけなければいけないのだろうか」

自分に問いかける頭を抱える千聖に

「そんなに悩まなくても大丈夫だよ、

チサ」

「ソディ···」

名前を呼ぼうとしたところで口を手で抑えられた

「!」

「ソディアスって呼んじゃダメ!

ソディーって呼ばないと大変なことになるよ」

「···わかった。ソディー」

「ふふ、よし!」

「ところで、悩まなくてもいいと言うのは?」

「あ、そうだった。チサはね、呪いを壊してもらったの。だからいまもこうして生きてる。生きがいとかは家に帰ってからゆっくりみんなで考えようよ、チサのことだったらみんな真剣に考えてくれるから」

「・・・」

何とか説得ソディーだが、その言葉は千聖に刺さる気配がなかった。

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