見知らぬ場所

 そんな日々を送っていた僕は、あるとき目を覚ますと見知らぬ場所にいた。

 タイル状の閃緑岩らしき天井。木目がはっきりとした頑丈そうな壁。病院のような床。違和感がある、何かの施設のような場所だった。

「ここ……どこ?」

 ぽつりと零れた独り言は、誰かの耳に収まったようだ。

「目が覚めたか。君も」

「……どういうことですか?」

「私も目が覚めたらここにいてな。私もどういうことかはわからないんだ」

 まずは状況を把握しようと思ったが、そううまくはできないようだ。

 あたりを見渡すと他にも人がいることに気づいた。そして、その中の人が一人、目を覚ました。困惑した表情を浮かべ、僕と目が合った。

「これは……なんですか?」

 若干怪しまれているような表情を浮かべながら、震えた声で僕に聞いてきた。

「すまないが僕もわからない。君と一緒で、目を覚ますとここにいた」

「なるほど……。つまり状況は把握できないってことですね」

「そういうことだ。あの人も一緒だと言っている」

 さっき僕に話しかけてきた人の方を指さし、他にも人がいることを伝えた。そうするといささか安堵したような表情を浮かべていたが、状況は変わっていないことに気づいたのかすぐに不安そうな表情に戻っていた。

 彼女と会話している間に、他の人が目を覚ましていたみたいで、最初に話した彼が対応していた。

 中には外国人もいるようで、慣れない日本語を頑張って話している様子の人もいた。

 あたりをもう一度見まわし、状況を頭の中で整理した。

 この空間にいるのは僕を含め、七人だ。

 一人は最初に話した、二~三十代くらいの男性。

 一人はさっき話していた、十代くらいの女性。

 一人は外国人と思われる、二十代くらいの女性。

 一人は高校生くらいだろう、男性。

 一人はずっと困惑した表情を浮かべている、三十代くらいの女性。

 一人はとても冷静な表情をしている、二十代くらいの男性。

 ――そして僕で七人だ。

 今わかることはそれくらいだろう。

 そんなことを考え込んでいたら、どこからか声が聞こえてきた。

『皆さん、目が覚めたようですね。大変困惑していると思いますが、ゆっくりと聞いてください』

 ボイスチェンジャーで声を変えた何者かがどこかからこの施設(?)に放送を流しているらしい。

『あなたたち七人は、私が開催したデスゲームの参加者に選ばれました。おめでとうございます』

 それを聞いた瞬間、みんなが一斉に声をあげた。

「ふざけんな」

「何だと⁈ どういうことか説明しろよ」

「ドウシテデスカ!」

 そんな声が聞こえてきた。主催者の人物はそれを期待していたようで、不快な笑い声をあげていた。


 ただ、これでこの正体が分かった。

 僕――雷夢砦らいむとりではデスゲームに参加させられてしまったみたいだ。

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