幻月の見えたあの七日間を ~寝たら死ぬデスゲーム~
塔架 絵富
幻月の見えたあの七日間を
過去
働いたら負け、という言葉を最近よく聞くようになった。ただ、僕のように中には働けない人もいるのに、働こうと思えば働ける人がそう言うのはとてもムカつく。でも僕らはそういう人に反抗できない。結局のところ、この世界は弱肉強食なんだな。
***
食事に使うお金がない。だから僕はサラダのドレッシングを持ち、レジに向かった。
「サラダはご購入になさいませんか?」
「大丈夫です」
「お会計八十四円になります」
ボロボロの財布から、五十円玉一枚と十円玉三枚、一円玉四枚を取り出した。それを会計用のトレーに乗せ、お代を支払った。
「ありがとうございました。またお越しくださいませ」
店員がそう言い、僕は軽快な入出店音を聞き流しコンビニを出た。
家(といっても段ボールで作った野宿用だが)に帰ると、僕は買ってきたサラダのドレッシングを取り出した。
店員に訊かれたように、サラダは買っていない。なんでドレッシングだけを買ったかというと、飢えを凌ぎたいからというしかない。
残り少ししかないティッシュにドレッシングを吸い込ませ、口に頬張った。少しでもお金を節約するためにはそうするしかなかった。
なんでこんなにお金に困っているのかというと、働き先が決まらず、何もできなかったからだ。生活保護はどうにかして受けている。
じゃあなんで生活に苦しんでいるのかっていうと、月10万支給されるうちのほとんどを高校時代の友人(だと僕が思い込んでいた人)に毎月たかられているからだ。お金を渡さなければいいと思うだろう。しかし、一度そうしたときに、心臓を刺されそうになり、あばら骨を骨折した。病院に行くお金もなかった。
そういう相談をしたこともあった。生活保護金を多くしてほしいと頼み込んだこともあった。しかし、病院に行ってないため骨折の証拠がなく、支給するお金は多くできないと断られてしまった。
物価は上昇し、僕が一ヶ月に使えるお金はたった数百円だ。
僕は生きることに絶望していた――いや、している……だが。
じゃあ僕は何のために生きているのだろうか。それはまあ当然――わからないんだが。今まで何度も死にたいと思うことがあった。でも僕は必死に生きている。生きる理由などどこにもないのに。
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