新しいゲーム

 キーンコーンカーンコーン

 鐘の音が鳴り響く。

 もう昼休みが終わった。あと2分でいいから延長してほしいと思ってしまう。

 5時間目は…、国語か。

 準備しよう。って、あれ? ノートがない。

「友! ごめん。ノート返すの忘れてた」

「あれ? 貸してたっけ」

「勝手に借りてた」

 本当に面倒な奴だ。

 ノートの表紙を確認した。ちゃんと僕の名前、”稲田友いなだとも”が書かれている。

 ノートが見つかったので席に座って、授業が始まるまで待つ。


 キーンコーンカーンコーン

 今、席に座ってない人はどういう思考をしているのかが気になる。

 先生にばれたらどうするつもりなんだろう。

 皆が座りきったころに先生が教室に入ってきた。

「それでは授業始めていきます」

「気を付け、礼。お願いします」

「チャイムの前に座ってなかった人は、授業が終わったら先生のところに来てください。誰が座ってなかったか知ってますよ。正直に来てください」

 丁度座りきったころに教室に入ってきたのはそういうことだったのか。

 雰囲気が最悪だ。

「今日は5日なので出席番号5番。ページ126からページ128まで音読してください」

 最悪だ。最悪な雰囲気で音読するのはとても嫌だった。早く授業終わんないかな。

 音読を終え、授業が進む。終わりのチャイムが鳴るまで。


 キーンコーンカーンコーン

 やっと授業が終わった。

 これで今日の学校は終わり。帰ったら何しようかな。そうだ、みんなを誘ってゲームしよう。

冠希かんき奏多かなた。今日帰ったらゲーム一緒にしない?」

「ごめん。俺ら、国語の先生に放課後『第2多目的室に来なさい』って言われてて無理」

「分かった。頑張って耐え抜いて」

「耐え抜くのは慣れてるから大丈夫」

「それ慣れちゃダメな奴」

 帰りの準備するか。

 帰ったら、あいつら誘ってみるか。できるかどうかわからんけど。

崎坂さきざか冠希さん、赤森あかもり奏多さん、早く来てください。他の人はもう来てますよ」

 他の人って何人だろう。どのくらい座ってなかったんだろう。って、何気にしてるんだ僕は。

 さ、帰るか。


「ただいま。って、誰もいないけど……」

 僕は両親共働きで、家に帰っても誰もいない。だから、友達と遊ぶことが寂しさを和らげる一つの存在。

 スマホを開いてGiscord(通話やチャットができるなんか)を開こうとしたが、位置がずれてニュースアプリを開いてしまった。

 まあ、少し見るか。一番上に来ていたのはゲームに関するニュースだった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <攻略不可能なゲーム>

 ”初心者のクリエイターです。”さんが作った、攻略不可能なゲーム。

 広大なマップを探索しステージを進めていくが、延々に続くだけであって攻略ができない。

 詳細を知りたい方はこちら→HTTPS;||K0URY4KUFUK4N0UGEEMU.C0|V|

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 なんだこのゲーム。つまらなそう。

 Giscordを開いて、ゲームの友達とチャットする。

 <トモ:今日できる人いる?|

 <ライ:俺できる。|

 <ミケ:ごめん、できない。|

 <ヤス:出来るよ。|

 <イン:無理。|

 ミケとイン以外はできるから、三人チームマッチに入ろう。

 <トモ:じゃあ、いつものところで集合ね。|

 <ライ:了解。|

 <ヤス:り|

 <”トモ”がボイスチャットを始めました。|

 いつもの”ダブルシューターTRI”を開いて、部屋を立てる。

 しばらく遊んでいると、ライが話しかけてきた。

「そういえばさ、あの攻略不可能なゲームって知ってる?」

「うん。なんかつまんなそうじゃね」

「それはないと思うな」

 皆にはつまんなそうに見えなかったらしい。詳細見たら興味持てたのかな。ま、どうでもいいけど。

「なんだっけゲームの名前」

「えっと……、”不可侵領域Iふかしんりょういきわん”とかじゃなかったっけ」

「そうだ、それそれ」

 話に置いて行かれる。ちゃんとニュースを見ておくべきだった。

「それってどんなゲームなの?」

 聞いてみた。どうせ『知らないの?』と、煽ってくるだけだろうけど。

「えっと、サンドバッグ系のゲームだけど、ステージという概念があって……」

「多分やってみた方が早いぞ」

 ヤスが話しているところに急にライが割り込んでいた。

「説明できないくらい複雑なんだ」

 ヤスが話しを切った。この二人はいつもこんな感じだ。


「買おうぜ」

 そういいだしたのはライだった。

「いいね。やってみないとわかんないしね」

 ヤスが乗っかった。まあ、少し気になってきたし……。

「そうだねやってみよう」

「お! トモもその気になったか」

「うん」


 不可侵領域I、やってみよう。

 攻略不可能なゲームに立ち向かってみることにした。




 この時はまだ、何も知らなかった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

絶対無理ゲー 塔架 絵富 @238f_peng

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ