★side fiction/森山猫劇場 第24話

 夜22時頃、邸宅に帰って香織はすぐに入浴すると、就寝した。

 メイドのメイリンにも、邸宅の戸締まり確認後、いつもと同じように、翌朝まで自室待機を香織は命じた。


 メイリンが真っ暗な一階の自室に戻って、メイドの衣装や下着を脱いで全裸になる。

 ベッドに仰向けに、体を真っ直ぐにして、寝そべり目を閉じる。

 厚手のカーテンが閉められっぱなしの部屋で、月明かりも入らないようになっている。


 メイドのメイリンは、部屋の内鍵をかけない。これはメイリンの閉め忘れではない。


 23時52分。

 ベッドと洋服掛けしかないメイリンの待機室に、聡は侵入した。

 メイリンが脱衣室で香織の体をバスタオルで拭いたり、バスローブを渡している隙に、聡は私物が何もない待機室を下見して、メイリンが普通の住み込みの使用人ではないことを確認した。

 魔導書グリモワールに間取りなどの配置を記憶させた。

 これで真っ暗でも、聡は物や壁などにぶつからずにメイリンの待機室を歩ける。


 8月14日。

 一階の柱時計の針が深夜1時をまわった頃、香織の寝室の合鍵を手にしたパジャマ姿の美優が裸足で自室をそっと抜け出した。


 邸宅内に術者は一人だけと香織は思い込んでいる。庭の結界に反応があれば、香織はしっかり目を覚ますようにしてある。

 その時はメイリンを使役して、侵入者の撃退へ向かわせればいいと香織は考えている。


 その警備員を兼ねているメイドのメイリンに、聡がいかがわしい行為を行っている。

 聡は感覚を研ぎ澄まして、全裸になって乳房を揉みまわしてみても、メイリンはまったく寝息も乱れずに、ベットの上で静止していることに驚いた。


 背中の背骨の真上にそって、呪符がぴったり貼りついており、端を爪でひっかいてみても、めくれたりすらもしない。

 ただし、肌には柔らかさや弾力がある。それに、温もりだってある。

 メイリンの乱れがない鼓動と寝息が、部屋の暗がりの中で続いている。


 夢の中でも真っ暗な中で、魔導書グリモワールにメイリンの身体の形状を1秒ごとに記録して、聡は目を閉じたまま、手探りと浮かんでくる感覚でメイリン、正確には、柴崎教授の体を弄りまわしている。

 感じているのかいないのか、反応が一切ない相手に、それでもいつ目を覚ますかわからない緊張感のなか、聡は夜這いして愛撫し続けている。


(あれっ、この中だけは、しっかり反応があるな)


 中指の指先を自分の唾液で濡らして、淡い恥毛のしげみをそっとかきわけると、股間の小さなわれめの奥へ、指先をゆっくりと挿入してみた。


 中は熱く抵抗するようにぎゅむぎゅむと締めつけてくる。

 そのまま、親指の先で小粒の小陰唇の前部にある小突起をこねながら、中指を動かしていると、じわりと蜜があふれ出してきた。


(こんなに濡れてるのに、息も乱れないし、声も出さない。なんかすごく不気味だ)


 聡は興奮はしていないけれど、メイリンをいじっていない自分の左手で、強引に自分のものをしこしこと刺激して……あと、キャンプの夜の柴崎教授の愛撫の快感を思い出しながら、どうにか勃たせた。


 ぬちゅりと湿った音がして、聡はどうにか勃ったものをゆっくりと沈みこませて、上からかぶさるように抱きついて肌を重ねた。


(はぁ、はぁ、はぁ、こんなに無反応なのに、この中はすごく熱くて……くっ、ぬるぬるなのに、やらしく締めつけてくる)


 聡はじっくり射精を我慢してこのまま、腰を打ちつけていれば、メイリンも快感に反応して、息が乱れたり、表情に変化があらわれたりするかもしれないと考えて、限界までがんばってみることにした。


 息が上がり、ものが熱い内壁のひだと締めつけにじわじわと刺激され、萎えることを許さない快感に震え、汗ばみながら眉をよせて思わず声をもらしたのは、聡のほうだった。


 これを三回ほど繰り返し、聡に陵辱されてひくひくと反応しているわれめから、中にたっぷり放出された熱くほとばしった白濁した精液が、どっぷりと吐き出されてくる。仰向けで両脚を屈辱的に開かされたまま、目を閉じた無表情のメイリンは、それでも、息ひとつ乱れない。


 聡はメイリンをゆっくりとうつ伏せにして、奥から逆流してきた蜜と白濁が混じり合った粘液を指先ですくい取ると、メイリンの背中の剥がせなかった呪符の端に塗りたくっていく。


 メイリンは呪符が剥がれ落ちると同時に、いきなり大きく目を見開いた。

 飛びかかられた聡は疲労もあってかわしきれず、メイリンにベットに押し倒された。


 ふー、ふー、ふーとそれまでの静かな息づかいが興奮したかのようなものに変わっていた。


 聡の唇を口を塞ぐように奪い、がりっと爪で左胸の心臓の真上のあたりを引っかかれ、聡が小さな痛みに眉をしかめた。


 引っかかれた小さな傷から血がにじむと、メイリンでも、もちろん柴崎教授でもないものは、猫が水を飲むように舌を小さく出して舐め取る時のように、聡の血をぴちゃぴちゃと舐めて、妖しい微笑を血のついた唇で浮かべた。


 香織の呪符は操るだけでなく、クダ使いとして柴崎教授の一族が戦いの中でかぶってきた祟りの発動を鎮めていた。

 それを聡は剥がしてしまった。


このメイリンの変化を、聡は夢でみていない。


 聡はまだ、性交直後の無防備な状態で、メイリンの急激な変化に恐怖を感じながら、同時に、心臓の上の小さな傷口を舐められた時、ゾクッとまた勃起するほどの快感が、背中を這い上がるのを感じた。
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る