2、奇妙な出来事

   ◇◆◇

ー今年の梅雨ごろー

 この頃、ローゼは奇妙な夢を見た。

 まだ産まれてもない小さな双子を抱いて海辺を散歩している夢だ。

しかし、海の白波が不意に双子の片方をさらい、海に巻き込んでいってしまう、という夢だ。そしてローゼは『お願い‼️返して‼️』と叫んだところで悪夢から目覚めた。

 その日からこの悪夢は毎日続くようになった。

 しかし、全く夢の進展がなく、全く同じ夢で、必ず『お願い‼️返して‼️』と叫んだときに目覚めることになっていた。


 それから約2週間後、ローゼには出産の兆しがあり、夜中に子を1人産んだ。

夫と話し合い、子供の名前は2人産まれてから決めることにした。

 しかし、問題は2人目が産まれないのだ。腹は以前よりへこんでいるが子がいることは間違いない。しかし、次の日も、また次の日も産まれないのだ。

   ◇◆◇

 そうした感じで悶々と過ごしているといつの間にか秋に近くなった。

1番目の子が産まれたときよりもローゼの腹は大きくなっているため、死んでいる可能性は低いが、子供二人一緒にいられないのが不憫だ思う。

 もう医師の中には『腹を切開した方がいい。』ということを勧める者もいる。ローゼもそう感じていた。

 しかし、医師と相談した夜、やっと待ちわびていた出産の兆しがあり、少々難産ではあったが無事産まれた。

 一人目の子と比べると対して身長共に体重はさして変わりはなかったため、ローゼと夫は安堵した。


 そうして無事この島・寿島の跡継ぎはどちらも産まれた。

   ◇◆◇

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