(三)-3

「ちゃんと子どもの面倒を見るっていったでしょ! それなのに置いてきぼりにして! 現代青果の人が拾ってくれたから良かったものの、そうじゃなかったら、あの子、SAで迷子になってたのよ!」

 あちゃーと呟きつつ父は自分の車の運転席に上がろうとした。

「ちょっと待ちなさいよ!」

 ビクッとして父は立ち止まった。

「それに、これは一体なんなのよ!」

 母は父の車の、出っ張ったバンパーを指さして怒鳴った。

「だから、これはだな、男のロマンだよ! ロ、マ、ン!」

 父は母の方を向き直って怒鳴った。

「あんたはバカなの! こんなもん付けて! 荷物を運ぶのに必要ないでしょう!」

「いいじゃねえか! かっこいいんだから! このぐらい大したことないだろう!」


(続く)

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