(二)-5

 いくつもの小便器が並ぶ男性トイレで用を足し、トイレを出ると、早足で大型車両用の駐車スペースの方へ向かった。

 しかし、乗るはずのトラックがいなかった。

 場所は覚えていた。給油所目の前、SAの出口の方から三番目だ。これは車を降りたときに自分で確認したので、間違いない。

 父はどこに行ってしまったのか。それとも自分が記憶を間違えた?

 呆然としながら、僕はスマホを取り出し、父親に電話した。

 電話がつながると、僕のスマホは父の声で大きく驚きの声を上げた。

「お前こそいまどこだ?!」

「まだ安達太良SAにいるんだけど……」


(続く)

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