(一)-4

「それは父さんがやったの!」

 僕もそう声を張り上げた。

「あいつはどこ!」

 大声の母親に指で市場の建物の搬入口の方を指さした。

 すると母は、「ちょっと妹を見てて」と言い残して父のいる方へ歩いて行った。

 搬入口の方を見ると、数往復して荷を積み込んでいたフォークリフトが、最後の荷物を載せ終えて搬入口の方へ戻って行くところであった。

 それと入れ違いになるように、父は伝票を片手にトラックの方へ歩き始めたところだった。


(続く)

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