田舎の夏休みは何故か短い

8月28日 残暑と蝉のジリジリと響く声。

目の前で揺れる陽炎が、この暑さを簡単に示してくれる。


正直、昨日課題を終わらせるために徹夜したのがまずかった。

今日から新学期だと言うのに、体がだるくてしょうがない。


なのにだ。今日は初日だと言うのに、テストがある。しかも3教科も。


今日、購買がなければ休んでいたところだ。

それぐらい辛い。


とまぁ、グチグチ言っているが、足はちゃんと学校へ向かっている。


俺は不真面目になれないからたまに損するよな。



学校に着いてから、休む暇もなく俺達は

始業式、テストを行い。やっと昼休みだ。


「ゆうな、飯食うか」


「うん。」


ゆうなは学校だといつもこんな感じだ。

こないだ話してたいじめのとこもあるのかもしれないが真意は俺にはわからないし、そこまで踏み込むことも良くないだろう。


「え、お前ら2人で飯食うの?」


戸惑いの声をあげたのは、俺の親友(多分)の

宮崎 響みやざき ひびきだ。

小学校からずっと一緒で、昔は毎日のように遊んでいた仲だ。

今はお互いバイトだとかで忙しくて遊べてないが予定があればいつも一緒に遊んでいる気がする。


「あー、そーいえばそっか」


「なんだよ」


「俺達、夏休み入ってすぐに付き合った」


「は?」


「俺達、夏休み入ってすぐに付き合った」


「聞こえてないわけじゃない」


「じゃあどういうこと」


「どういう経緯かがイマイチわからん。夏休み前は隣の席の人ぐらいでしか無かったじゃん」


「俺が遊び誘ったら来て、その後付き合った」


「なるほど、イマイチわからん。」


「もっかい言おうか?」


「いらんわ。ところでふたりが付き合ったってことは体育祭のあれふたりで出るの?」


「「あれ?」」


不意に会話に参加してきたゆうなと被った。


「あー、知らんのか。うちの体育祭は一番活躍したやつにMVP賞っていう賞状が渡されて、それ貰ったやつは願いがひとつ叶うっていう都市伝説がある。」


「「まじ?」」


「まじ」


「「頑張ろう」」


「ちなみに、頑張るのは良いけど、今年はみんな本気でMVP枠狙ってるから運動得意なやつが多分取るよ」


「練習するか」


「おけ」


「確かに二人仲良いね」


ありがとう。でも、MVPになれないかもしれないってなったらどうしようか。


「今年の体育祭は楽しくなりそうだね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る