16.2人の早朝

キス解禁でイチャイチャ度が上がります。

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──睦巳 View


身体が重い、寒気がして、圧迫感がある。

息苦しくて目を覚ました。


外は明るく、時計を見ると朝の5時過ぎになっていた。

どうやらエアコンは点きっぱなしのようで寒い。


そして俺はと言うと、駿に後ろからガッツリ抱きつかれていた。


背中には駿の身体前面がピッタリと密着しているように感じる。

腕枕はされている、けどその前腕部は俺の右肩を抱いている。

駿の右腕は俺の身体前面を抱き締めて手の平はおっぱいを鷲掴んでいる。

駿の右足は俺の太ももを抱き抱える様に挟み込み、ガッシリと俺の足を固定している。


うん、こりゃ重くて圧迫感があるわけだ。

駿も寒いのだろう、だから俺に抱き着いていると思う。

時々寒さからか、暖かさを求めてギュッと力強く抱きしめられ、身体や腕を擦り付けられる。


文字通り駿に包まれて幸福感を感じるけど、やはり意識が無い状態の為、重たいし圧迫感で少し息苦しいしで駿から逃れようと思う。


まずは右腕を退かして……と、……と?

あれ、動かない、駿の右腕は俺の想像より遥かに力強くて動かせない、確かに俺の体制は横になっているからあまり力は入らない、だけど、腕を動かすぐらいわけないはずだ。


そして腕を外そうとすると離すまいとより強く抱きしめられる、おっぱいを強く掴まれる。実は起きてないだろうなこいつ。


おっぱいを優しく扱うのは、それが弱点で乱暴に扱われると痛いからだ。

その痛みが好きな人もいるらしいが俺は違う、痛いものは痛い。


それはともかく、力の差っていうのは、今までも頭では分かっていた、些細な事なんかでもそれは感じていた。

でも今回は違う、何が違うかっていうと超えられないほどの腕力の違いがあって、スポーツをやってて細マッチョな男には腕力で絶対に勝てない、と分からされた事だ。


つまり、駿が本気になったら俺の抵抗は無駄だという事。

押さえつけられ、抗えず、なすがままだ。


意識の無い状態でこれだ。

意識があるなら駿に限らず男には勝てないだろう。


俺は今、自分がか弱い女の子なんだという事を身を持って実感している、相手が駿で良かった、手遅れにならずに済んだ。


さて、それじゃあどうやって此処から脱出するか考えなくては。

出来れば寝ている駿を起こしたく無いから最終手段としてその手は残しておこう。


そんな事を考えているとエアコンの風が当たり、また駿は強く抱きしめてきた。

抱きしめ、身体を擦り付け、ギュっと掴んでくる。

せめておっぱいを掴むのだけでも止めてくれれば、痛みはそこまででもないんだけど。

くそー、起きてたらこんなに思いっきり鷲掴みなんて出来ない癖に。


今取れる行動の選択肢は少ない、それで出来る事を考えて、決めた。


この駿の右腕、前腕部を両手で挟んで扱き、温める。

そうすると違和感と温度が上がってくるなどで嫌がって今の位置から動かそうとするはずだ、動いたら直ぐに胸をカバーして掴まれないようにする。

それだけでもおっぱいは痛くなくなるし、身体への圧迫感が無くなって大分楽になると思う。


よし、それじゃ行くぞ!


まずは両手でなんとか駿の前腕部を掴んだ。

そのまま扱き続けると、少し熱を帯びてきて順調に温まってるのが分かる。

すると違和感か嫌がったのか、駿の右腕が振り払うような動きをした。

即座に両手で自分の胸をカバーし、掴まれないように、抱き込まれないように守った。


よし!作戦成功だ。

しかも都合の良い事に駿はそのまま仰向けの姿勢になった。

肩から手も外れた、足も離れた。

即座にベッドから降りて衣服を正し、胸を確認し、エアコンの風向きと温度を変えた。

そしてまだグースカ寝ている駿を睨みつけた。


「くそ、駿のやつめ、ちょっと跡が付いちゃってるじゃん、全く責任取れよなー」


そう言って駿の寝顔を眺めていると、寝顔が可愛く見えてきた。


「──まったく無邪気な寝顔しやがって、いつもは頼もしいのに寝てる時は可愛いもんだな」


スマホを取り出し、駿の可愛い寝顔を何枚か写真に収めた。

寝顔をバックに自撮りなんかもしたりして結構楽しんだ。


さて5時半くらいだけどまた眠くなってきたし、もうエアコンの風も当たらないし大丈夫だろう。

俺はもう一度ベッドに上がり、駿の腕枕で横になり、そのまま2度寝した。



──駿太朗 View


微睡みながらも意識が覚醒した。今は何時だろうか、なんだかとても良い寝心地だったような気がする。

って!そういえば今日は睦巳と寝ているんだった。

何か変な事はしていないか、変な姿を見せていないか、そんな事が心配になる。


まだ目を開けていないけど、この感触は……マジなのか?

それになんだかいい匂いがする。

ちょっと目を開けるのが怖いけど、勇気を出して目を開けた。


目の前には睦巳の頭だろうか、良い匂いの原因はコレか、そして睦巳の顔と身体はこちらを向いているようだ。

左腕は腕枕になっていて、そのまま睦巳の柔らかい左肩を抱いている。

右手は……うん……身体を抱き込んでそのままお尻を触っている、とても柔らかくてずっと触っていたい。

両足で睦巳の両足と交互に挟みこんで絡まっているようにも見える。

凄く柔らかい太ももが心地よい、ずっとこうしていたい。

あとはあれだ、朝特有の臨戦態勢になっているアレが柔らかい下腹部に押し付けている。


睦巳は全身柔らかい、どこ触ってもだ、いつも睦巳が甘えてくるけど、むしろ俺が柔らかい睦巳に甘えて委ねたい。絶対に気持ち良いと思う、……俺はそのまま我慢出来る気がしないのでやっぱダメかな。


これはいけない、名残惜しみながらも両手を離し、絡み合った足を解いて、距離を離した。


その感触で起きたのか睦巳は、ん?という反応をした。

時計を見ると7時前、起きるには丁度良い時間だろう。


でも不味い、今の状態では満足に動けない、悟られる前に先に動いて体制を立て直そう。

先にベッドから降りて椅子に腰掛け、足を組んだ、これでバレないだろう。


そして落ち着く為に今日の予定を考える。


今日やる事はおはようのキスから始まって睦巳の誕生日プレゼント。

問題はプレゼントをいつ渡すかだけど、キスがあるなら丁度良い、プレゼントはキスした後に渡すとしよう。


昨日の今日でキスを普通に考えるなんて、俺も睦巳に随分と毒されてるなあ。


本当はディープなのもしたいけど、流石にそれは恋人同士じゃないとダメだ。

普通のキスでも本当は親友同士ではやらないけど。

睦巳が俺達ならしても不思議じゃない、というその言葉、睦巳の距離感で考えたら確かにそうかもと考えて、しかしどちらかというと自分の都合の良いほうに考えて、睦巳に甘えてしまった。


それほどに睦巳の唇の虜になっていた。

だって睦巳の唇を見てると吸い寄せられる、キスしたくなる、その艶のある唇に弾力の……、ってそれは良いか。

とにかくそれくらい魅力的だという事。


──睦巳 View


ん?なんだか目が覚めたような気がする。

後ろで駿がごそごぞと動いていて、腕枕が外され、ベッドから降りて椅子に座り、考え事をしているようだ。

時間は7時前、起きるには丁度良い時間、俺も起きるとするか。


ベッドの上で身体を起こし、伸びをする。

多少のトラブルはあったけど、駿と一緒に寝られて良かった、心が大分満たされた気がする。


駿がこちらに近づいて来た。


「睦、おはよう、よく眠れたか」


そう言って、俺の頬に手の平を添え、顔を近づけて、そのままキスをしてきた。


チュッ、チュッ、チュ


寝起きにキス、啄む様に3回も、最後はそのまま少し長く、しかもちょっと弾力を楽しむ感じがして、ちょっと頭がポ~ッとする。キスって気持ち良いんだな。

頬に手を添えているのも良い、この手が大きくて、今朝方感じた力強さというか、頼りがいを感じて、もっとほっぺたを触って欲しくなる。

というか、3回目なのに上手くなっちゃって。


「駿、昨日の今日なのに随分と上手くなったじゃん」

「睦に褒められると嬉しいよ、ありがとう」


昨日から始めてもう上手くなるほどキスしたのか、って皮肉のつもりだったけど、伝わらなかった。

言い回しが良くなかったかな。普通に褒めたように聞こえたみたいだ。


まさか、許可したらこんなに事ある毎にキスして来るなんて、駿の唇に対する熱意を甘く見てたかな。

駿のほうから俺との繋がりを求めてきてくれて、俺の心に安息を与えてくれるから良いんだけどね。


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