第6話 秘密
「それじゃコーヒーごちそうさま」
「あぁ、ヒナもまだ本調子じゃないんだから無理するなよ」
「わかった、ありがとう」
「じゃあな」
「あぁ、またな」
その後下で大家さんと喋る声が聞こえた。
あ、俺の服、まぁいいか。
次の日には雨は上がり、晴天だ。
外に出ると、
「おわっ!」
「服を返しに来た」
「あ。あぁ」
「それじゃ」
「あー。初級ダンジョンにいくか?」
「いいのか?」
「まぁ、初級だしな」
「いく!」
ヒナは満面の笑みだった。
「ゴールドスライムってみたことあるか?」
「何を言っている?スライムは青いぞ」
「じゃあ。スライムを全部呼ぶから確認してみなよ」
『スライム収集』
スライムが大量に目の前にいる。
「さぁ、倒せよ?」
「舐められてるわね」
ヒナは斬っていくうちにゴールドスライムを見つけたようだ。
「いた!まてこの!」
スライムに阻まれてゴールドスライムまで行けないようだ。
「あ!まて!逃げるな!」
どうやら逃げられたらしい。
「こっちにもいるぞ」
「どこだ!いた!」
今度はなんとか倒せたみたいだ。
「いた!ゴールドスライム!初めて見た!」
「な?いただろ?」
「あ、カード!」
カードを拾って確認するとアイテムボックスだったようだ。
「きゃーーーー!こ、これもらっても?」
「ヒナが倒したんだからヒナのだろ?」
「やったぁ!どうしよう!どうする?」
あたふたしているヒナは可愛いな。
「使えばいいんじゃないか?」
「そ、そうよね!」
“ビリ“と破いてしまう。
「きゃー!アイテムボックスが私のスキルになったぁー!」
ぴょんぴょん飛び跳ねてうれしがるヒナ。
「さ。もういいだろ」
「さっきのが、もう一匹いたの!」
「あー、また呼ぶか?」
「お願いします」
『スライム収集』
さっきより少なくなったがまだ多い数のスライムの中でゴールドスライムを探すと、二匹いた。
「一匹でも斬ってやる!」
「おりゃー!」
「とりゃー!」
「おぉ。執念だな」
斬って斬って斬りまくる。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
残念だったな。
「もう一度!もう一度お願い」
「少し休めば?」
「いや。逃げられちゃうから!」
「じゃあ、『スライム収集』」
スライムは湧きが早いな。
なんとか一匹倒してバテてるヒナに水を渡す。カードは風魔法だった。
「こんなに動いたの久しぶりよ」
「だろうな!バーゲンセールのおばさんみたいだったぞ」
「な、それはないぞ!女性に向かって言うなんて」
「あははは」
「あはは」
「これが俺の秘密だ」
「何で見せてくれたんだ?」
「んー、友達だから?」
「んー!んー!」
何かを叫ぼうとして我慢しているヒナ。
「どうした?」
「嬉しい!」
ヒナはニコッと笑って立ち上がると、
「もう一回お願い」
「まだやんのか?『スライム収集』」
「ウィンドカッターー!!」
一瞬でスライムが吹き飛ぶ。
「まだまだまだまだぁー」
短剣を使って斬って斬りまくる。
「ラスト!」
そしてゴールドスライムを倒した。
「風魔法だったわ」
「そりゃ残念だな」
「でも良かった!」
「そりゃなにより」
ニコッと笑うヒナはやり遂げた感があるな。
「私のスキルは短剣術だけだったの!」
「へぇ、それでも俺よりマシだな」
「でもいまはえへへへ」
風魔法とアイテムボックスがあるもんな。
スライムのドロップ品をアイテムボックス にしまうヒナ。
「よしっ!次行こう!」
「ん?」
「レアモンスターっているんでしょ?」
「いるけど、ゴブリンとスケルトンだぞ?」
「いいの!なんか身体を動かしたい気分」
ぐるぐると腕を回す。
「ならいいけど」
「んじゃ『ゴブリン収集』」
「いっくぞー!」
それから初級ダンジョンを攻略するまで付き合わされた。
「くそっ!追尾短剣は使えると思ったのに!」
「なかなかうまくいかないもんだ」
ギルドビルに向かって歩いている。
「あ!クレープ!食べよー!」
「走るなよ」
クレープを食べながら歩く。
「それなんだっけ?」
「ブルーベリークリーム」
「あーん」
「は?」
「食べたいからあーん」
「ほらよ」
俺のを食わせてやる。
「うん!美味い!」
「私のはチョコバナナデラックス」
「アーン」
「まあまあだな」
「うっそー!」
そんなことをしながらギルドビルに到着した。
「まっててね!」
「俺も行く」
そういえば俺もドロップ品の買い取りがあったわ。
横の受付で買い取ってもらうが、量が半端ないのでカゴに台車にと乗せて行く。
「ありがとうございます、七百八十万四千円になりますが現金ですか?それともカードに入れますか?」
「カードで」
「はい!こちらで終了となりますありがとうございました」
「なになに!なんでそんなに!」
「中級で狩ってたからな」
「えー!ずっこいなぁ!」
「ずっこくない」
ヒナが顔をプクーとしてるのを潰してやる。
「中級いこか?」
「今日はもういいだろ?」
「まぁいいけど。じゃ明日!」
「何で一緒にいくんだよ?」
「いいじゃん!友達でしょ?」
「はぁ、俺いま三十層なんだけど」
「えー、マジで?じゃーちょっと待ってて!私も三十層まで行ってくる」
ヒナは今からいきそうなのを捕まえて、
「今何層なんだよ?」
「…十五層」
「後半分あんじゃねえかよ」
「だって一緒に行きたいもん!」
「わかった。十五層な」
「ほんと?」
「あぁ、しょうがねぇだろ」
「レクトやさしー」
抱きついてくるヒナを避けて、歩いていく。
「なー、もー!」
「んじゃ明日な!」
「うん!明日ね!」
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