第5話「覚醒」
「やめろ!ミランダにも、アリスにも手を出すな!お前は僕を殺せれば、満足なんだろ!?」
「やめて!そんなのソラらしくない!」
真っ青になって呼びかけるアリス。
「そうよ!そんなことをしたら。私、一生あのことを話さないわよっっ!?」
デリーズ達を睨むミランダ。
それを聞いてビクッと肩を震わせ、こめかみに青筋を走らせるデリーズ。
「一生だと?そんな事はさせない。貴様が話さなければ、小僧を今すぐ血祭りにあげるだけだ!!」
ソラの喉元にナイフを当てた。
「くそっ、バカヤロー!やるなら、やれよ!」
ソラは震えながら言う。
アリスも顔面蒼白になり、ブルブルと震えていた。
「やめて!ソラは関係ないじゃないっ。何であんたみたいな賊に殺されなければ、ならないの!?」
ドクン、ドクン!
アリスの胸に組み込まれている。生命回路が、早鐘を打つ。
――嫌だ!ソラが、アタシの前からいなくなるなんて、絶対に嫌だ!!!――
その刹那、アリスの身体が光り輝いた。鳥かごが、こっぱみじんに吹き飛ぶ。
それに、驚愕するソラ、ミランダ。デリーズ達。
「なっ、何だ!?あの非力なAIがやったのか?ちくしょう。だから、なんだって言うんだ!このまま、目障りな小僧を殺してやる!」
デリーズは、ソラを刺し殺そうとした。
「駄目ーーっ!!」
アリスは、決死の覚悟でデリーズの前に立ちふさがった。
「「アリスーー!!」」
真っ青になるソラとミランダ。だが。
ガチンッ!
金属音が鳴り響き、瞬く間にアリスは、白銀に輝く片手銃に変形した。
何と、ナイフが通らずにソラの目の前で止まっている。
『うそ?アタシ変形してる』
「アリスが、銃に変形した!?」
ソラも驚愕している。
――これはなに?でも、これならソラの力になれる!――
『よーし。ソラ!アタシを使って、こいつと戦うのよ』
「でも、僕銃が苦手だし!」
ソラが怖気づいている。
『そんなことを言ってる、場合なの?!あんたは、アタシがサポートするわ。さあ、早くっ!』
「分かった!」
ソラは、アリスが変形した片手銃。“シルバー・ハート”を構えた。
銃という武器は、重さがあるのにこれはまるで、羽根のように重さがなく。軽々と持てる。
「軽い。これなら僕にも、扱えるかもしれない」
ミランダは、今のアリスの姿を見ながら、母の言葉を思い出していた。
(フェアリー・ハートを、組み込まれているAIが、この世界にはいるわ。)
「もしかして……」
のどまで出かかったが、あえて言葉を飲み込んだ。
ソラはまず、ミランダを羽交い絞めにしている。子分に素早く足払いを掛けて、ミランダを救った。
「ありがとう!ソラ、アリス」
ミランダは希望を込めて、ソラとアリスに礼を伝えた。
「ミランダ、どこかに隠れているんだ!」
「ええ!」
ミランダは、急いで物陰に隠れた。
ソラはミランダの所に手下が行かないように全て、体術で倒してしまった。
「くそっ、小僧!」
「マイキー来い!!」
「へいっ、デリーズ賊長!!」
マイキーは、瞬く間に黒光りした銃に変形した。
「ハッハーッ!貴様を今日こそ、仕留めてやる!!」
デリーズは、挑発的に笑い銃を構えた。
ソラも銃を構えたが、人の命を奪う未知の武器に震えが止まらない。
アリスは、そんなソラを見て自分が支えなければと、強く感じた。
アリスの記憶回路に記憶されていた。ガンマンの能力が、アリスの中に流れて来る。
それは、アリスを作ったソラの父親ゼルマンが自分の死期を悟って、後のソラのために遺したものだった。
――ソラ、俺がいなくなっても強く、育ってくれ。アリス、ソラを頼むぞ。ーー
アリスの回路にゼルマンの声と、ソラへの深い愛情が流れて来る。
「ゼルマン博士……!」
アリスの瞳から涙が溢れた。
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