甘い考え

Rotten flower

第1話

俺の名前は「水戸名護屋」。製薬会社に勤めている一社員だ。この社に勤めて六年になるが、やりがいも何も感じず暮らしている。

主な功績もなく、同僚からは下に見られ後輩にも気を使われて、もう転職しようかなと思うほどだ。どちらにしろ、こんな人材は迷惑極まりないだろう。

俺はマッチ棒をこすり自分の家に投げた。火はついておらず結果は失敗した。同僚の火をつけるためだけに買ったマッチの本数は今投げたのが最後だった。地面を軽く蹴った。

そんな、俺の前にいきなりスーツを着た筋肉質な男が現れた。

男は言った。

「人生嫌になりましたか?」

「あぁ。」

俺は瞬時に答えた。

「でも、自分で死ぬのは嫌なんですね。」

「え?」

俺は相手の言葉に戸惑った。自分ではそうは思っていない。

「だって、さっきのマッチ棒、ちょっと浮いてたじゃないですか。火がつかないように。」

…確かにそうだ。俺は怖くて、自分の家に、火がつくのが。

「寿命で死にたいんでしょ?」

「あぁ、できるなら。」

男はポケットから謎の色がついたクーポンのような紙を取り出した。少しだけキラキラしていた。

「これを使えば勝手に老けて勝手に死んでいきます。」

男はそれを聞くと葛藤した。自分はこれを使って報われるか。それともただの詐欺商品ではないのか。

男の目つきが怖く、震えている手はいつの間にか半券を切っていた。

空気が俺の前を通り過ぎていく。俺の視界には速く動く人間約3秒で終わる1日。そして、伸びるひげと髪。それなのに喉の乾きと空腹感はない。そこは不思議に思う。

太陽が止まった。いや、止まったのではなく動きが遅くなった。といったほうが正しいだろう。人を全く見かけない。

コンビニは閉まっている。中を見るがマスクの在庫が全く見当たらない。

謎の伝染病が流行って世界の人口は1000000分の1にまで減ってしまった。

この伝染病の抗生薬が出ていればよかったのに。いや、作ればよかったんだ。

俺は「この意気地なしが。」そう自宅であった場所のポストに入れると自分の人生が尽きた。

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