好きな男子が戦闘狂過ぎて私に惚れない話
花水 遥
プロローグ1
どうして、僕は弱いんだろう。
どうして、僕ばかり不幸な目に遭うんだろう。
どうして、暴力を振るわれるんだろう。
どうして、みんな僕を差別するんだろう。
どうして、みんなと僕は違うんだろう。
どうして、誰も助けてくれないんだろう。
どうして、誰も見て見ぬふりをするんだろう。
どうして、僕が虐められるんだろう。
どうして、僕が死ななきゃいけないんだろう。
どうして、どうして、どうして、僕ばっかり……。
さようなら、最悪な世界。
その日、一人の少年が学校の屋上から飛び降り命を絶った。
そして同時に、一人の赤子が誕生した。
電車に自ら飛び込み、命を絶ったはずなのに意識が覚醒しつつある元少年は自殺に失敗したと思った。
自殺することも出来ない悔しさに涙を流すと、自らの口から出てきた鳴き声が赤子そのもので、自分が生まれ変わった事を悟った。
ゆっくりと目を開けると、真っ白な照明と天井。そして、傍らに自分を見下ろすように何者かが立っている事に気が付いた。
直感的にその存在が人ではなく、もっと上位の存在であることが分かった。
「……ほんの少しだけど、力を授けた。君にやってもらいたい事がある。出来なければ力は返してもらう」
消え入りそうだけど、はっきりと脳内に直接語りかけて来るような不思議な感覚だった。
「君にやってもらいたい事、それは――」
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