陽炎

柳の下

第1夜 陽炎の少女

照りつける太陽の日差しのもと陽炎が視界に踊る。


俺は暁 紫苑 《アカツキシオン》、20の大学生だ。

三限の授業も終わり渋谷で大学の友達と遊んだが友達たちが急用が出来たと解散して1人自宅に帰ることになった。

俺の住んでいる街は23区外の小さな市だ。人口は少ないが駅前は清潔感で溢れている住みやすい街だ。


不愉快になる大気の暑さと太陽に照らされたアスファルトからくる暑さと湿気でこの世をサウナに変えていた。


電車で家まで帰るのなら最寄り駅で降りればいのに健康のためにわざわざ最寄り駅の3個隣の駅から自宅まで歩いていた。


時刻は17時、まだ視界に陽炎が踊っている。


夕方と言える時間に俺はこの間、Twitterで見たツイートを思い出した。


「最近都内で陽炎を見続ていると女の子が現れるらしいから気をつけて!」


よくある都市伝説系のツイートで俺も気にしてなかったがオカルト系YouTuberや考察系YouTuberが実際に「黄昏の少女を見たら呪われた」「黄昏の少女の踊りを見ると1週間以内に命を落とす」と言った動画が流れるとSNSやYouTubeは昔の言葉で言う「お祭り」騒ぎになっていた。


「黄昏の少女だなんて、今更流行んねぇ都市伝説だよな、バカバカしい…。」


自宅からあと30分のところにある探知の脇の道に陽炎が見えた。


ふと違和感を覚えた。何かが違う。


この道はこの時間帯なら一通りも多いし車通りも激しい。なのに人や車が俺の視界には無い。なんなら生活音や煩わしい蝉の声まで聞こえない。


「なんなんだよ、これ。」


見慣れない光景と現象に不安と焦燥感に駆られスマホを取り出しLINEで親しい友人に片っ端からLINEをかけた。


しかし、誰にも繋がらない。


「なんでだよ!なんでだよ!」


体験したことない恐怖に俺は動揺することしか出来なかった。



「ふふ、ふふっ、ふふっ…」


笑うような少女の声が聞こえた。他の音は一切聞こえないのに少女の笑い声?は確かに聞こえた。だが、不思議と恐怖心を感じなかった。

どこか安心感があるような声だった。


「あなたは私が怖い?」


陽炎の先に見える少女が問いかける。


その少女は年齢は17.8、女子高生と行ったところか。ピンクの地雷系パーカーに黒いボブに赤いインナーを入れ両耳にバッチしピアスを入れている。どう見ても渋谷か池袋にいる地雷系の女の子にしか見えない。


「は?怖いと言えば怖いけどなんか想像と違って……。」


こんな時に正直な感想を述べた俺はつくづく抜けてんなと思った。


少女の方に顔を向ける。


「あは、あっはっは!なに、ウケんだけど!!まぁたしかに怖くないよね笑 あーしのこと怖がんないの君だけだったよ。私は陽炎 葉月カゲロウ ハヅキ君の名前は?」


彼女の態度に拍子抜けしたが先程まで死ぬんじゃないかと思う恐怖心を捨てて彼女に告げた。


「俺は暁 紫苑、都内の大学生だ。まぁ、そのよろしく。」


俺のぎこちない挨拶が面白いのかまた彼女は笑いながらスマホを取り出した。


「へー!大学生なんだ!私も大学生だよ!とりまLINEかインスタ交換しない?」


わかったことは黄昏の少女はかなりの陽キャの女子だった。


俺は彼女と連絡先を交換してその日は彼女と別れた。

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陽炎 柳の下 @ooskask364

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