第一回 二人の出会いは偶然に
「あ、教科書忘れてる。」
バス停で待っているときに気が付いて時間表を見た。バスは大体一時間半から二時間に一本のペースで来るので乗り遅れたらかなり帰るのが遅れる。それにラジオを聞く時間も少なくなってしまう。正直今すぐにでも聞きたい。が今は教科書取りに行くことが優先だ。
「今が大体十六時十分前だから。次が十六時半か。うんいったん教室に戻る余裕はあるし教科書取りに戻ろう」
三十分もあれば戻ってこれるだろ。
最近忘れ物が多いから直さなないと。
少し小走りで教室に戻った。
それにしても最近暑すぎる。この時だけは本気で温暖化を止めるすべを考える。
そんな誰しもが考えることを考えていたら教室についた。
教室に入ろうとしたとき聞き覚えのある声がした。
この時間すでに全員下校しているか部活に行っているので教室に人がいるわけがない。いるとすれば私のような忘れ物をした愚か者だろう。
そんなことより誰だろうか。そしてこの声は何なのか。
考えても無駄なので教室の扉を開けた。
「ラジオ!」
思わず声が出てしまった。
扉を開けるとそこにはラジオを聴いている少女が一人窓側の机に座ていた。
「あ、ごめんなさい気にしないで」
バスに遅れるわけにはいかないのでとりあえずすぐに謝り自分の机に向かった。
「あった。」
忘れ物の教科書を回収し、足早に教室を出ようとした。
「君、ラジオ好きなの?」
話しかけられた?いや気のせいだろうそれより早くバス停戻らないと。
「君だよ君千春ちゃん。千春ちゃんはラジオ好きなの?」
やっぱり私を呼んでいるようだ。
「あ、うんラジオ好きだよ。」
我ながらきもい反応をしてしまったものだ。
きっとこの筋の演技なら助演女優賞をもらえるだろう。
それよりそんなことをなんで聞いてきたのか聞き返すべきなのか。
「そのラジオが好きなの?」
また質問してきた。
「えっと水曜日のオールナイトニッポンかな」
本当はもっとマニアックな番組が好きだがこの手の質問には可もなく不可もなくな答えを答えている。
「あれいいよね。私はね。木曜日の番組かな」
心の私は好き好きと大きい声を上げながら側の私は
「いいよねあの番組面白いよね」
とりあえず早く帰りたい私は適当に答えてしまうのだ。これを直せば友達が増えるのだるに
「LINE交換しない?私やっとラジオ好きに会えてうれしんだよね。ね!ね!いいでしょ?」
正直ラジオ好きに悪い人はいないというのが私の意見なのでもちろん答えは
「う、うんもちろんいいよ」
「やった!!!」
こんなに喜んでくれるとこっちもうれしい
「ありがとう!帰ったらすぐ連絡するね」
「うんわかった。てかこんな時間ごめんね私バスだから急がないと乗り遅れちゃう。」
「うそ!?私もバスなんだいそごいそご!!」
そうして走ってバス停に走った。
何とかバスには間に合い家に着くことができた。
いつも通りご飯を食べお風呂に入りスピーカーにスマホをつないで日課のラジオをつけようとしたときスマホが鳴った。
「放課後ありがとね!また明日!」
ほんとにLINEおくってきてくれたのが少しうれしくて今日を振り返りながら
「ちょっと楽しかったな」 と、ふと思った。
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