ボイル

@nyamadori

ボイル

エンジニアに支給されたるいい椅子のかさばる通路をすぎて昼飯


リードエンジニアという肩書きを名乗ってる役職があるわけではないが


先頭に立ってコードを書いているみんながどう転ぶか見ている


システムのつながり表す地図に足す矢印の先にAmazonを置く


疎結合を良しという声ありふれて 代替可能性とは信仰


できがいいMicrosoftのエディタを頼ってる それでいいのかそれで


動かないコードの前の新人に画面に吐かれたエラーを指差す


他人が書いたコードはしばし読みにくい考え方が噛み合うまでは


リポジトリにinitial commitを打ちぬ十月にまた新たなチームを


順調にスパゲッティコード茹であがるチームに初の売り上げが立つ


ひと段落つくと不安が押し寄せることはあるよと後輩に告ぐ


行動の結果に付いてくるロール 悪くはないが選べば重たい


英語にて報告されし不具合をわれらも踏んで進めなくなる


作るべき機能を少なくすることはいいこと そうはいかないのだ、と


過去の自分が書いたコードに質問があるとはじめましてのDM


障害を知らせる電話の呼び出し音 いまだに慣れずおろおろと出る


選んでる椅子のサイズが合ってないような気がする 珈琲を飲む


スパゲッティを巻き付けたとき飛び散ったソースのような小さなバグが


ChatGPTにできるかどうか聞くうちにできると自信がつくのを感じる


バーンダウンチャートは下がらず飛行機が滑走路からはみ出しそうだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ボイル @nyamadori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ