第一章 第二話

二話『はじめてのおつかい』


「『危険な森リソースフォレスト』か。」

そう看板にあった文字を呟いて森に入っていった。

いったい何が待ち受けてるんだ?

その時、周囲に鉄の戦斧を持ったドワーフの軍団が現れた。

「おい!それ以上この森に入るな!」

5体いるな。増援の可能性は…

(スキル『周囲確認サーチ』使用)

(周囲にドワーフ五体、ゴーレム二体を検知しました。)

ないのか。しかし、ゴーレムが2体潜んでいるのか。

こうやってスキルは使えるんだな。

「おい!そこの人間……!?」

…?なぜ驚いているんだ?ああ。ドレイクだからか。

森を燃やしに来たわけじゃないんだけどな、勘違いなんて悲しいぜ。

「戦闘用意!皆こやつを囲め!!」

そうリーダー的なドワーフが声をかけると、ドワーフたちはフル装備になり囲んできた。

「燃やしはしない。」

そう説得はした。しかし、戦闘をする気のようだ。


(戦闘開始)

(ドワーフ軍 スキル『ゴーレム召喚』発動)

地面にひびが入り、泥でできたゴーレムが出てきた。

『周囲確認』で分かってたから急な対処できてたとはいえ、なかなか手ごわい。

すかさず『反撃カウンター』を使おうともしたが、間に合わない。

しょうがない。無謀だから、戦闘から逃げよう。

今さっき手に入れた、人並外れた身体能力で木々を飛びうつり戦闘から離脱した。

羽はまだ小さすぎて使い物にならない。

「くそ!あいつを追え!ゴーレム!」

あっちも早い。ゴーレムってあんなに早かったっけ?

しかし、まだ距離は近づいていない。


ドワーフたちを引き離し、森の中心地にやってきた。

「あら?お客さんかしら?」

その声とともにズルズルときれいな透き通った少女が出てきた。

「こんにちは。」

…スライムか。こいつは厄介。

「いたぞ!総出で囲めー!」

「くそっ。まだいたのか。」そう思って咄嗟に構えた。

「やめなさい。ドワーフさんたち。」

スライムの少女がそういうと、エルフは武器と装備を外した。

すごいなこの女性は。

何者なのだろうか。



「すみませんでした。」

「いえいえ。」

…初めて女性としゃべるかもしれん。

ずっと家に引きこもってたからな。

「改めて、私は『エール・スライメ』といいます。スライメと呼んでください。」

お辞儀と同時にプルプルと揺れる、透き通った三つ編みからは丁寧さを感じた。

焦ってこっちもお辞儀をしたあとに言葉を付け加えた。

「…私の名前はクリム・ルーシィドゥです。ルーシィとお呼びください。」

「素敵な名前ですね。」

…気まずい。女子と話すのはこうもつらいのか。

透き通っているとしか感じなかったが、スライムにはしっかりコアがあるんだな。

くすくすと笑うと、呼応するようにコアもキラキラと光る。

「ところでなぜこの森に来たのですか?」

「資源を少しほしいなと思い、入りました。すみません。」

「なるほど…」

そういうとスライメさんは家のような大木の中から、メモ用紙を取り出し考えを整理し始めた。そして、にやりとした。

「そしたら条件付きで資源をあなたに定期的に送りましょう。」

「条件とは?」

「この森をそのドレイクの炎で燃やさないこと。それと…」

「それと?」

そういって家からこの国のマップを持ってきた。マップにはきれいな装飾までつけてあった。不思議な白い建物を指して、

「ここに行ってほしいのです。この研究所を壊してきてください。」

「なるほど。分かりました。」

そう言って出かけようとするとドワーフたちが、

「今さっきはごめんなさい。これ支給品です。てっきりドレイクだから森を燃やすのかと…」

(アイテム:小回復ポーション×3

   武器:鉄の剣

      を獲得)


ドワーフたちはまだ信用していないようで、しょぼい装備しか渡されなかった。

まあ当たり前か。

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