まだ覚醒していないレベル1のクソザコだけどエロさ全振り聖女様の使用済み装備を売って、俺は楽して最強装備!鬼畜外道勇者と行く、聖女の染み付きパンティロード!

モブ俺製作委員会

第1話「生脱ぎフレッシュ感溢れるピンクの薄い布地の何か」

「染み付きかぁ。まだほのかに温かいし……よし、十五万イェンでどうだ?」

「うほッ♪ さッすが大陸一の商売人だな。お目が高ぇ」

「ヘヘッ。大陸一は悪かねぇな。特に、世界を股にかけて暗躍する勇者様に言われると、ますますその気になっちまうぜ」

「勇者様、ね。俺だってなりたくてなっちまったわけじゃねぇよ」

「おいおい。そんなこと言ったら、元伝説の勇者様であるお前のオヤジさんも草葉の陰で泣いちまうぜ?」

「子は親を選べない。なまじ有名勇者一族なんぞの血を引くと、そのガキも勇者にならざるを得ない運命……。そんなくだらねぇ負の連鎖は、俺の代で断ち切ってやるぜ」

「ハッ。なかなかバチ当たりなこと言うじゃねぇか」

「使命とか平和とか、そんなもん俺にとっちゃどうでもいい。本来、俺がヤりたかったことは世界のめぼしい女どもを囲ってハーレムを作りまくることだからな」

「その目標を達成するために、まずは先立つものが必要ってわけか」

「ああ。カネはいくらあってもいい。で、次の品はこれだ」

「ほう。こっちは少しばかり匂いがキツいなめし皮のブーツだな。だが、フェチにはこの蒸れた匂いがたまらねぇらしいし……しかたない、特別に三万イェン出そう」

「ずいぶんと太っ腹だな。さすが、そのビール腹は伊達じゃねぇぜ」

「まぁ、オレもおかげさまで稼がせてもらってるからな。世の中、持ちつ持たれつってやつよ」

「ところで、今週の相場は?」

「水か? それともシモか?」

「両方だ」

「分かった。まずは水からだが……一瓶当たり七万飛んで三千」

「七万越え!? 先週より二割も上がってるじゃねぇか。さすがに売り時か?」

「最近は、撒けば魔物を退ける効果があるってんで若年冒険者を筆頭に需要があるからな。特に黄色く濃いのはさらに高値がつくぜ。ましてや、聖女様の加護付きってありゃあもっと……」

「検討しよう。だいぶ溜まったはずだからな」

「期待して待ってるぜ。で、シモだが、ブロンド十本で五万。さらに聖女様の加護付きなら十万イェンは堅いな」

「おほっ。聖女の加護やっべ! マジでチート級の上乗せじゃねぇか」

シモをお守りに入れるとご利益が増すってウワサがあるんだよ」

「くくっ。信仰深過ぎるってのもある意味罪だよな。ま、何かにすがらないと生きていけない弱者がいるからこそ、世界は成り立ってるとも言えるがな」

「ちげぇねぇ。あー、それにしても羨ましいぜ。そのチート級のドル箱聖女様を手籠めにしてるんだからな」

「その点に関しては俺も一族の血を引いていたことに感謝してる。とにかく、売れそうなもんができたらまた来るから今後ともよろしく頼むぜ」

「ああ。こちらこそ、ごひいきに」


 ◇◆◇


 馴染みの地下店舗、ブルー・セラーズをホクホク顔で出た俺は、そのままの足で夜の高級ホテル街に溶け込む。

 やがてたどり着いたのは、街一番のスイートルームの一室。

 そのドアを開けた瞬間――まず襲い掛かってきたのは、むせ返るような濃厚で強烈な乙女の匂い。


「おとなしくしてたか?」


 純白のレースカーテンがセットになった天蓋付きの豪華な四柱式ベッド、その一本の柱の根元で後ろ手に縛られているのは、妖しいアイマスクを着けた白いローブ姿の女。


「ぁっ、はぁッ、ふわあ……♥ ゆ、ゆうしゃ、さまぁッ。私、いっしょうけんめい、いい子にしてまひたぁぁっ」


 顔を見なくとも足音だけで俺だと判別できるようになったブロンドショートの女は、反射的に虚空を見上げ口元をだらしなく緩める。


「匂いの元凶はやっぱりそれか」


 へたり込んだ板張りの床には、ものの見事な水たまり。


「ずいぶんとハデにやらかしたもんだ」

「あひ、ぅひ、ふひひ……♥」


 ま、出かける前に魔力デトックスポーションをたっぷり飲ませておいたから当然か。


「……んしても、もったいねぇ。の価格が高騰してるのを先に聞いてたら、垂れ流しになんかしなかったのによぉ」


 小刻みに震える彼女の脇に置かれた、数本の青く細長い液体瓶。

 一見ただのガラス瓶に見えるが、これは強力な魔力が込められた特殊アイテム。


 実は彼女の体内から捻出されたには聖なる力が込められていて、そこらの瓶に入れようものなら一瞬で砕けてしまい中身がこぼれてしまうのだ。

 しかし、魔力瓶であれば聖なる力に耐えることができ、無事彼女の聖水を封印し、溜められると言うワケだ。

 ただひとつ問題があるとすれば、この魔力瓶がべらぼうに高いと言うこと……。


(そろそろホテル代のツケも払わないといけねぇし、本当に旅ってやつは無駄にカネがかかるよな)


 一方、世の中にはそんな一銭の得にもならない旅を好んで行う連中がいるらしい。

 俺のオヤジもそうだった。

 困っている人、苦しんでいる人、悲しんでいる人を救うため。ただそれだけのために剣を振るい、血を流し、嗚咽を吐き、そして人知れず散っていった。


 はたしてオヤジに救われた人間たちは、オヤジが亡くなったと聞いたときに一滴でも涙を流しただろうか? 一瞬でも黙とうをささげただろうか?

 いや、きっと喉元過ぎれば熱さを忘れると言うヤツで、恩義なんて言うのは時と共に薄れていくもの。

 たとえそのときばかりは救世主だの神様だのと崇められたとしても、幕が下りればお役御免。

 総じて、おとぎ話のヒーローなんぞ極めて損な役回りなんだ。


(オヤジには悪いが、俺は得な役回りをするヒーローを演じさせてもらうぜ)


 当然、勇者一族の血と言うアドバンテージはしっかりと有効活用させてはもらう。

 現に、行く先々でオヤジの功績が根付いている土地があることも確か。

 例えば、あるところでは酒が飲み放題だったり、温泉に浸かり放題だったり、関所が無条件でパスできたり、より質の高い武器や防具を特別に提供してくれたりする。

 ま、そんな無数の恩恵の中でも、俺が一番気に入っているはやはりコイツだ。


「ま、人間の生理現象なんだし、出そうと思えばいくらでも出せるだろ。なぁ? 聖水を垂れ流しながら興奮しやがってる、アレクサンドラよぉ」

「ぁ゛んっ♥」


 屈みこんだ俺は、形の整ったアレクサンドラの顎先をクイっと持ち上げながら問う。

 そう。彼女もまた、オヤジのもたらした恩恵の賜物。

 なんでも幼少の頃、戦火に追われた際にオヤジに命を救われ、以降、恩返しのため、オヤジもとい勇者の血を引くものに仕えることを一心に生きてきたらしい――。

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