わたしたちの平日

泰浜もとじ

第1話

吉日は思い立ったが〆切で消印有効の意味をググらん

日付ごと付箋つけようきみの野心タラレバでもまだ二重線引く

メモは花束を集めて日記のよう飾れはしない思い出を繰る

「忘れそう」とメモをしたのに見返せば覚えていない気持ちが残る

悩むとは迷子となれる猶予なり「インクがないや」と途切れているメモ

分岐点戻ったところでこの道さどうしたところで決めてきただけ

信号が見惚れているから赤、赤とスキップしながらカラスが急かす

注文はこちらへどうぞのタブレット時間は内緒の税込価格

ソムリエはバンホーテンを撫でながら「ドリンクバーとは違うわ」と母

決意とは押すのではなく進むこと氷を染めるアイスコーヒー

こんなもんやるかやらないかの違いココアを見ながらブラックを注ぐ

私たち寄り目でぼけっとしてるとき魔法使いでいられるらしい

単語でも挨拶プラスの感想が本意と知れたら本音に会えたら

ホーホケときみが鳴くからキョをもらう去年、郷愁、教訓、強運

ため息を吐息なんかにすげ替えて飲みこめやしない沈黙ばかり

多分、胸ではないどこかがきしむのはヘソが居留守を決めこむからだ

口笛が遠くまでよく届くなら日時指定して着払いせん

ただいまに応えてみたくなる夕べおかえりなさいのアイスを両手に

天気すら今日のうちでは未確定予報ですもの僕らですもの

明日の吾がやること今日の吾が書いてやり昨日のわたしはなにしてたんだよ

正解ではない今日と地続きの明日と答え合わせを待つ明後日

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたしたちの平日 泰浜もとじ @mg21

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る