一人の女の人生
村崎愁
第1話 親の離婚
まだ千絵が二歳の頃だった。その時代は父と母の言うことは絶対の時代だ。
母の親から忌み嫌われていた父は半ば無理やりに離婚させられ、千絵は母方に引き取られた。
千絵には兄がいるが、兄・悟は父が引きとった。
父親に酷似していた千絵は祖母から物心がつく前から虐待を受けていた。
「ますますあの男に似てくるね」
「なぜ帰ってきた。出ていけ」等と毎日暴言を吐かれる。
飯は千絵の分だけ当たり前に無かった。
叩かれるのも日常だ。
それは子供ながらに辛い日々で、その後待っている地獄は想像だにしなかった。
後に父はその時アイスクリームの補充という仕事をしていて晩御飯はアイスクリームだったと聞く。
母の顔に酷似している悟と反対ならば良かったのにと思ったものだ。
その後祖母が他界。
何が原因なのか未だにわからない。ただ、祖母が他界した日に嬉々として、冷たくなった祖母が運ばれている最中クローゼットの中で歌っていたのを鮮明に覚えている。
父と母は反対する人間がいなくなり再び結婚した。
父と悟、母と千絵で暮らせるようになったが、その時父はアルコール依存症だった。
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