第1話 現実逃避

 こんにちは!片桐 奈緒だよ!!

 今日からアイドル!どんな世界が待っているのかなぁ!

 楽しみ♪

      



     なんてことあるかぁぁぁぁいぃぃぃ!!!



          ◇   ◇   ◇



 やぁ、皆の衆。勢いで突っ走りすぎてアイドルになってしまったバカはここにいるよ。ふっ。まぁ、私は所詮ただの一端にすぎない限界オタクなんですがね。

 黄昏ながら、心の中で見えない人と話す奈緒。そんな妹を眺めるシスコンの兄、楽。

きっかけはこいつ(楽)にあった……



               ~回想~

「あぁぁぁぁ!!!本日も大変麗しゅうございますなぁ!!」


 推しのアイドル、安神 ミオちゃんを眺める。こんなことは毎日の日課。いわば日課と書いて日課デイリーと読む。


「なーちゃん!!俺も構ってぇ~~!!」


 横でいつもうるさくしているのは兄の楽。シスコンすぎて自分でも引いているがどうしても治らないらしい。こちらとしてはいい迷惑だ。いい加減、妹離れしてほしい。


「はいはい。静かにしててね」


 話に付き合ってると面倒くさくなるでさっさとかわす。私はそっけなくかわした気がしたが···


「素っ気ないなぁ。まぁ、そんななーちゃんも可愛い♡」


 と、妹だけにはポジティブ思考な兄にため息がでた。気を取り直して、画面の中の推しのミオちゃんと向かい合う。


「はぁぁぁぁ。アイドルになったら、推しと近づけるかなぁ?」


 心の中で思っていた言葉が口に出ていたらしい。この言葉がえらいことになるのを、奈緒は思ってはいなかった。


「アイドル……ふむ」


 横でボソッと口に出し、にやけた楽。奈緒はミオに夢中で気づいていなかった。


              ◇   ◇   ◇

 それから二週間後。

 奈緒はいつもの日課である早朝のポストをあけた。『封筒がある…なにこれ?』そう思って、受取人の名前をみるとそこには自分の名前。頭に疑問符を浮かべながら、部屋へと封筒を持って行った。


 用事が落ち着き、部屋に戻った奈緒はポストに入っていた封筒を丁寧に開けた。するとそこには書類が入っていた。書類を広げて中を見てみる。紙には、大きな文字でと書かれていた。読み進めてみると、なんということだろうか。

    アイドル試験というものにいつの間にか応募し、合格したらしい

 奈緒は応募などしていない。そもそも、応募の仕方など知っているはずもない。

なら、なぜか。奈緒は一瞬で答えにたどり着く。階段を使って「ダダダダっ」と降りていき、兄の部屋の扉を開ける


「お兄ちゃん!!!これ、いったいどういうこと?!」


「あぁー。届いたか。結果はどうだった?まぁ、当然合格に決まっているよなっ」


「そういうことを聞いてるんじゃないの!質問に答えて!!」


飄々と兄は話す。私はとても怒っているというのに落ち着いている兄がとっても憎たらしい。


「いや、だって。奈緒がアイドルになりたいって言っただろ?奈緒のアイドル姿…」


うふふふふふと笑みを浮かべる兄はどうかしていると思う。兄の思考は異次元へと飛んで行った。


「アイドルになりたいだなんていつ言ったのよ!」


「ちょうど二週間前か?言ったぞ。」


怒っている奈緒も可愛いと呟く兄。椅子から落としたくなる。けれど、思い返せば「アイドルになりたい」とは言っていないが「アイドルになったら」とは言った気がする。だが、アイドルになる気なんてさらさらない。


「どうするのよぉぉ!」


 頭を抱える奈緒に兄は言った。


「まぁまぁ。一回、行ってみたらどうだ?」


 お前が言うなと思う奈緒。まぁ、それもそうかと思った。この言葉には兄の欲望が詰まっているのも知らずに。


「一回だけだからね!一回!」


 はいはいとニコニコしている楽。こうして、私はアイドルの道に歩んでしまうことが決定したのだった。


                



                 ~現在~


「お兄ちゃんのアホォぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」







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こんにちは。もしかしたら、こんばんはの方もいるのかな?

作者のnoaです。今回はこの作品を読んで下さり、ありがとうございました。

面白かったらハートや星、コメントなど、お願いします!!

では、




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