「1」は孤独で完璧だった

@sinobu2

子供の王国、砂の街。ふたりを知った孤独と歩む。





【子供の王国、砂の街】






毎日ランドセルに詰めていたあれは溢れんばかりの明日だったと







消えてゆく虹を見ていた少年の眼は喪失を未だ知らずに







潮騒を聴こうと貝に耳当てたあのころ確かに信じてたもの







公園の回る地球の中にいた子どもは世界の中心だった







「星に手が届かないのは子供だからではない」ことに気付いたのはいつ?







ブランコは僕に似ている

馬鹿みたく同じところを行ったり来たり







この場所で回り続けるためだけの

回転木馬は飾り立てられ







残酷な子供の間引きは唄になる

「あのこがほしい」(あのこはいらない)







いくつまで大人になりたかっただろう。

いつからなりたくなかっただろう。







「さみしい」を一人処理する夜がある

(※それが大人になるということ)









【ふたりを知った孤独と歩む】






片羽根の鳥は

空へと身投げする

死にたいほどに蒼く晴れた日







「泣かないで」

もう聞くことのない君の言葉に泣きたくなる夜明け前







関われば関わるほどに弱くなる

「1」は孤独で完璧だった







感傷という感情が落とす影

いつもあなたの形をしてる







宙を指す君の

記憶をなぞる夜

とうに潰えた星を見ている







棘に似た記憶を抱えて生きていく

時折触れては悼みながら







欠けて行く月を見ていた

あの秋も今も

あなたの手を握れずに








捨てられない

君にまつわる何もかもを

そういう愛し方をしたから







ここにいる理由もすでに無くなって

鳥が飛び立った窓を閉じる








この雨もいつかは虹を生むだろう

足跡に光る痛みを遺し

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