ハムとベーコン

古井咲花

ハムとベーコン

朝マック混んでた? 混んでた 駅ビルと北口どっちのマック? あててよ


住む部屋も寝具も徐々に広くなりそれぞれに合う枕を作る


充電器差しっ放しの携帯を布団の中で見遣る つかれた


夏の風呂出れば余計に汗をかきまた脱がし合うため冷やす部屋


自分では見えない黒子を何回も君は触って教えてくれる


文字がひとつ消えかけているマグカップの落ちない茶渋を落とす日曜


夕焼けのすごい夕方 肉を煮るためのコーラをまた飲み過ぎて


出来次第引っ越す予定のマンションのブルーシートを震わす夜風


ぼくがねてる動画をさっき撮ったでしょ。それはねてない動画なのだよ。


K-POP口遊みながら納豆はいつもより多くかき混ぜられた


行きつけのカフェもいいけどどこいこう会議をたまにはしませんか会議


横になれるソファがほしいと思い出すいつものバスの最後列で


コンビニに寄らずに帰る コンビニに君を連れ出す口実のため


エコバッグ大きいものしかないせいでひどく膨らむ胸のポケット


風死するみなとみらいで祝日のおわりに並ぶクレープワゴン


直してほしいところはないけど食事系クレープだけは認められない


見ることより在るのが大事 国からの書類も五年分の写真も


凄い映画観ちゃって二人で横になるアロマオイルを石に垂らして


携帯はテーブルにあってベランダで二十分君は何をしてたの


ぼくたちの愛のちがいは明らかでハムとベーコンみたいなものだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハムとベーコン 古井咲花 @skrfri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る