あと0日 今度は私の番だから



『たとえば、君の肩にそっと花びらを乗せるような物語』



 書き綴った夢小説の書き出しには、君と恋人同士になる為の私の勇気。


 だけど現実に起こったのは、私じゃなくて君の勇気だった。


 私の勇気は、まだ君に見せることができていない。



 君の言う通り、私はどうしようもないくらいに面倒くさい女の子。


 君の勇気をかえって不安に思うような、そんな嫌な女なんだ。


 もしも恋人になることで、こんな嫌な自分が君にばれて、嫌われてしまったら……。


 そう思うと、ずっと怖くて不安でしょうがなかった。


 だけど君は、他の誰でもない、そんな私に永遠を誓ってくれたから。


 自分の思いを私に受け取ってもらうために、そっと、優しく肩に触れるような気遣いも添えて。



 そんな彼の優しさに一方的に甘えるのは、もうやめにしなくちゃいけない。



 こんな私の弱さに寄り添ってくれた君。


 今度は私の番だ。


 君の強さに追いつけるように、私ももっと、自信をもって君の隣に立てるように。


 君に好きだと言わなきゃいけない。


 勇気のある君と、勇気の無かった私。


 そんな二人の気持ちが一つになったとき、また私たちは新しい一歩を一緒に踏み出せるから。


 変わることを恐れてもいい。


 だけど少しずつだって前に進もう。


 これからも私たちが、ずっと一緒にいられるように。


 君が私に寄り添ってくれたから、私もまた、君に寄り添うんだ。



 ――――たとえば、君の肩にそっと花びらを乗せるようなお返しを。



 少しあざとい上目遣いの後に、君の口元に触れたのは私の唇。


 君が私に求めていることも、全部君が私に教えてくれたから。


 私も今まで通りの私のままで、君に本気を伝えてみよう。


 キミをからかうような素振りを見せて、そのまま耳元でそっと囁いた。


「あなたのことが、大好きです」




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たとえば、キミの肩にそっと花びらを乗せるような物語 奏月脩/Shuu Souzuki @Shuu_Souduki

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