19話合笑(どーるくらぶ)


迷宮の4つの入り口のうちの一つ



兎丸、アリス、林檎の3人は


他の倶楽部のアンドロイド達と手分けして

4つの通路のうちの一つを探索するとこになった


アリス「…床…2ミリくらい浮いてるやつがところどころあるから踏むなよ……罠の可能性大だから」

アリスは床を少し手で触れてそう言った。

そして狭くも広くもない通路を三人で歩き出す。


兎丸「はーい!」


林檎「…なんで、そんなこと知ってんだぎぃ…」


アリス「一時期興味本位で罠の仕掛け方とか調べてたことがあってな?」


林檎「罠に興味あるってなんだぎゃ…」


アリス「あははっ…それよりも気になるのは入ってきてから目に入る床や壁…何かの看板や窓枠とかが歪に壁にめり込んでるな…フジツボもところどころ。


子島自体や、霧がかかった部分の海下の岩盤が変形してるのか?」

アリスはあたりを見ながら考える。


林檎「そう言う大掛かりなことのできる怪人ってことだぎゃ」


兎丸「多分、上級だね!」



アリス「あぁ」

進みながら話していたアリス達



アリス「……!?」

だったがふとアリスは立ち止まり振り返る



兎丸「アリスくん??どうしたの?行こ?」


アリス「…うん(今誰かに見られてた気がしたんだけど…)」



兎丸「人間もイナズマちゃんもドーラちゃんもいないね。」

あたりをキョロキョロしながら言う兎丸


アリス「あぁ」


林檎「…ふん」


しばらく進んでいっていると


アリス「……っ!!!これ…」


アリスは思わず一つの壁を見て唖然とした


兎丸「っ!!!」

兎丸も目を見開く


林檎は表情を変えないがじっとそこを見る

そのには

_______おそらく人間の足であろうものがめり込んでいた。


アリス「えぐいことする…」


兎丸「くそっ!!」

兎丸は悔しそうに拳を握りしめる


林檎「ふん、2週間も連絡が取れてねぇんだ。人間が死んでても想定済みだぎゃ。」


林檎はそう言って先に進み出す。


アリスと下を俯いたままの兎丸もそれについていく。


林檎「……それに今はアンドロイドの強化と機体数が増えてきてるから人間への被害は減ってるだけで昔は怪人が現れるところに人間の死体があるなんてザラだっただぎぃし。

アンドロイド制作の技術のない国だと今でもそうだぎぃ…」


兎丸「…そうだけど…守りたかった…って怪人に殺された人間を見るたびに思うよ…」


アリス「…兎丸…」


林檎「ふん、思うのは勝手だが、

完璧に守れるなんてねぇんだぎぃ

クヨクヨしねぇでまだ救えるかもしれねぇ命を考えるだぎぃ….」


兎丸「……うん、そうだね!行こう!」


兎丸は再び前を向いて足を進めた瞬間だった。

2ミリ浮かんでいた床を兎丸は踏んでしまいそこだけ凹む


兎丸「うん?」

するとそのあたり一体の中の底がなくなった


アリス「は?」


林檎「ばかっ!!」


三人は避難する間もなく下に落ちそうだったが


兎丸「んぎぃ!!」

兎丸が間一髪、釘バットをストッパーにして突き刺すと口で噛み締めて空いた両手で一方に林檎を一方にアリスを掴んだ


アリス「た、助かった…」

アリスは下の方を見ると針山が連なっていたようだ



なんとなく這い上がり安全な床に足を下ろした3人は


林檎「おみゃぁあなぁ!!さっき気ぃつけろって言われただぎぃーー!」


兎丸「うぅ…ごめんなさいでした。」

兎丸の首には私がやりましたと書かれたプラカードがぶら下がり当の本人は正座している。


林檎「おみゃぁ。本当にきぃつけぇだぎゃあ!!

あたりの怪人にたどり着くのに機体がいくつあっても足りなくなるだぎぃ!!」


兎丸「返す言葉もございません。」


アリス「予備のエネルギー源も携帯できる分しか持ってきてないから無駄にできないしな?


(いや、そもそも…当たりの怪人に繋がるルートなんてあるのか?


俺がその怪人ならアンドロイド達がエネルギー切れを起こすか他の怪人にやられてから確実に始末する。)」



アリスと林檎にこっぴどく怒られた兎丸達は

気を取り直して先に進む。


____________________________


しばらく進んでいると

先ほど他のアンドロイドと分かれたのと同じ広さの別の場所に辿り着いた。


途中何度か下級怪人に襲われたものの

外傷は特になし。




アリス「!左の方…何か……倒れてる。」


広間の左の方にある物体を見てアリスはそう呟いた。


兎丸「!怪人だ!……ツンツン



…死んでるみたい。」


兎丸はテトテト駆け寄って体を突くとそう言った


アリス「……所々に火傷の跡………!感電死か。」


林檎「…天井にもなんかいるだぎぃ……あっちはまだかろうじて生きてるが糸で縫い付けられて身動きとれてねぇだぎぃ。


……ドーラのやつがやったんだな。」

兎丸に続きついてきたアリスと林檎は怪人の死体を見てそう言った、



兎丸「ところでその二人は?」


林檎「….いねぇだぎぃ…てかここで行き止まりみたいだぎぃし。

ここはハズレだぎぃか?」

林檎はそう言ってあたりを見回した。


兎丸「二人とも引き返して別のルートに行ったのかな?」


アリス「……いや、敵が霧の中の空間を自由に操ることを考えると

そうとも言えない。」

アリスは少し考えて


兎丸「??」

兎丸は頭にハテナを浮かべる


アリス「例えば二人がここにいた時には道があったからそこを進んだとか…後は…あまり考えたくないけど」



??「中級二人を倒したすぐ後で力が十分発揮できない状態なのに他の怪人が襲撃してきてやられちゃった…とかね!」

兎丸にわかりやすく説明している背後から急にピエロのような怪人が現れる。



アリス/兎丸/林檎「っっ!?!?」

三人は思わず飛び退いて距離を取る



??「やぁ僕は合笑。君たち界隈でいう上級 級怪人だよっ!」


兎丸「……お前がこの迷宮作ったやつなの?」


合笑「いや?僕はこの迷宮を作り出した怪人に頼まれたたんだ!君たちをいたぶってくれってね!

面白そうだから参加することにした。」


林檎「癪に触る怪人だぎぃ。」


兎丸「でもでも頼まれたってことはあたりの怪人がどこにいるか知ってるってことだよね!!」


アリス「それはそう。」


3人は一斉に構えた。


合笑「お?やる気だねぇ。…じゃあまぁ、君たちの相手は彼女達にしてもらおうかな?」


合笑は笑いながら指を鳴らすと


三人が入ってきた入り口が封鎖されて密室になり


どこからともなくゴーレムが出てきた。


その中心には


兎丸「イナズマちゃんにドーラちゃん!!」


二人が目を閉じて閉じ込められている。


合笑「君たちのこのアンドロイドと同じ倶楽部の子達らしいね?」


兎丸「そうだよ!返して!!」


合笑「やだよ。あの子は下級怪人の餌になる人間はとっておくくせにアンドロイドは早く壊せって言うのを断ってガラクタと合体させて遊んでるんだから。」




アリス「あの子?迷宮を作り出した怪人のことか?」


合笑「そう、でも取っておいてよかった!声して君たちと仲間内で争い合わせることができるんだから。なんて面白い!」


面白おかしく言う合笑


林檎「悪趣味だぎぃ。」

それを睨む林檎


アリス「!!(…また視線…ずっとじゃないが何分かに一度視線を感じる…

……なんとなくわかった"あの子"…つまりあたりの怪人の視線だ。

五つの入り口から入ったアンドロイドたちの様子を定期的に確認してやられたら出てから腹づもりだな。)」

アリスが考えている間に


兎丸「かえせこらぁぁぁあ!!」


林檎「殺すごらぁぁぁぁあ!!」


二人はイナズマとドーラを囲むゴーレムを削ぎ落とすがまた元通りに合体する。


合笑「むりむり、合体してるからね崩すにはゴーレムの心臓の役割を果たす仲間のアンドロイドを壊すしかないのさ!」


そう言って合笑は高笑いをするのだった。


合笑「ついでにもっと面白くしよう!」

合笑はそう言って指輪パチンっと鳴らすと


兎丸と林檎の手ががっちりくっつくて離れなくなった


林檎「んげっ!!」


兎丸「んなっ!?」


林檎/兎丸「なんじゃこれぇええええ!!!」


二人はがっちりくっついて離れない手をブンブン振るが貼られることはない。



合笑「あっははは!!僕の能力はある程度僕の近くにあるものを自由に合体させられるんだよ!無機物同士だと簡単に合体も分解もできるから何通りでも楽しめる!

僕の敵が無機物で良かったって感じ!」


とペラペラ愉快そうに話す。


アリス「(…兎丸達には不利ってことだな。)」


林檎「はなれろやぁ!!!」



兎丸「お前がなぁ!!」

二人は必然的に取っ組み合いの喧嘩になる

そしてそれに追い打ちをかけるようにゴーレムが襲ってくる



アリス「一か八か…」

アリスは二人を引っ張って物陰に隠れる


兎丸「アリスく〜ん!どうじようこのままじゃ一生林檎君と一緒だよぉ〜。」

とアリスに泣きつく兎丸


林檎「くっそ!!あ"ぁ"!!はなれねぇ!!!」

の腕ごと兎丸をブンブン振り回す林檎


アリス「(いま…視線は感じないか?)いいか二人とも…俺の作戦に協力してくれ。」

アリスはそう言って二人に聞こえるギリギリの声でそう言った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る