15話 (1日目)hey!!小惑星出張

宇宙歴4993年 5月2日 4:07


小惑星用宇宙船内




兎丸「見てみて!!アリス君!!地球や他の惑星があんなにちっちゃい!!」


兎丸はふかふかの椅子の上で膝でぴょんぴょん飛び跳ねながら窓の外を見る。


アリス「お前その勢いのまま窓突き破って落ちそうだから気をつけろよ。」



兎丸「うん!分かった!!

でもすごいねぇこんなでっかいのに線路もなしい飛べるだよ!!しかも貸切!!」


アリス「吟一さんに帰ったらお礼言わなきゃだな。」


アリスは吟一に渡されていた宇宙船のチケットと手紙を見てそう言った。



手紙の内容はこうだ


〈兎丸君、アリス君

改めまして初小惑星からの名指し依頼おめでとうございますっス!


兎丸くんが宇宙船に乗るの初めてではしゃぐと思うので思う存分はしゃげるプライベートジェットを今回限りではございますが行きと帰り用にプレゼントしますッス!


PS.アリス君、兎丸君が次回から普通の宇宙船で大人しく座っていられるようにいろいろ教えてあげてください!!


あと、宇宙戦港にいるときは兎丸にアンドロイド証明書(アンドロイドのパスポートみたいなものっす!)を必ず持たせてくださいっす!それがないと五大惑星以外の小惑星は入国できないので!〉


と言った内容だった。



アリス「(吟一さん流石だな、兎丸のことよく分かってる。…けど)」


いまだに隣ではしゃいでいる兎丸を見て

アリス「(俺が大人しく座ってるように教えるのは帰りになりそうだ。)」

と苦笑いをしながらアリスはスマホで今から行く国の新聞記事を見たりして情報収集をしていた。




惑星:地球から8時間かかる

小惑星:ダリア


無事着陸した宇宙船



アリス「依頼は今日5月2日から5月7日まで

5泊6日だから7日の昼までだから_______」


アリスは宇宙船を降りて搭降ゲート通り過ぎて兎丸にそう言ったが返事がなく



アリス「兎丸??」

隣を見ると兎丸がいない。



兎丸「あ"りずぐん"だずげで!!」

と声のする方を見ると搭降ゲートの金属探知機にまんまと引っかかっていた。


アリス「……….お前首から下げてたアンドロイド証明書は??」


兎丸「あっ」


兎丸は首から外してポケットに入れていたアンドロイド証明書を取り出して


空港の監視員に見せた


するとあっけなく通ることができたのだった。


兎丸「首から下げてるとブラブラして邪魔だからポッケに入れてたの忘れてた!」




アリス「たくっ!さて、今から依頼主に挨拶しにいくよ。」


兎丸「えーーー!!観光したい!!ぶぅ!!ぶぅ!!」




アリス「えーと…依頼人の住所は……首都ユリの都のカサブランカ0番地SR…と」

アリスは兎丸のブーイングを無視して教えられていた住所と先ほど地図を見る。


アリス「あっちだな」

兎丸「あっちか!」

アリスが指を刺した方面を見る兎丸だった。



____________________________

首都ユリ カサブランカ城


兎丸「アリス君、依頼主のお家間違えてない?」


アリス「…いや?間違えてない」


兎丸「嘘だぁだってここお城だよ?

お城に依頼主がいるとかそれはもう王様だよ?」


アリス「うん。」


兎丸「依頼主の名前は?」


アリス「アイアンメゾさん。この国の新聞に載ってた国王陛下の名前とは違うけど」


兎丸「あ、じゃあ違うのかな?」


アリス「単純」


2人は城の一番最初の門の前で立ち止まる。



するとそこへ


??「……もしや譜和アリス様と兎丸様でございますか?」

と声が聞こえた。


アリス「え、あ、はい!!」


兎丸「そだよ!」


声のする方に振り返り返事をする


??「遠路はるばるありがとうございます。私、この国の宰相をしております。メゾ・アイアンと申します。」

きっちりした髪にまるメガネの男がそうなのった?


兎丸「おじ様が依頼人なの?」


アイアン「いいえ、依頼のお電話をしたのは私ですが本当の依頼主はこの城の中におります。ご案内いたします。」


アイアンはそういうとたんたんと門をくぐり進んでいく。



兎丸「すご!!お庭に噴水がある!!見てみてアリス君!!」

兎丸は興奮気味に辺りを見回しているが



アリス「………ガコッガコッ…」

アリスは緊張しすぎてとてつもなくぎこちない歩き方で変な音を立てている。



アイアン「……」


アイアイは肩を向けずにチラリとその様子をみた。


_____________________

カサブランカ城 パーティフロア



??「フォッフォッフォッ!よくきてくれたニッポンのヒーロー達よ」


王冠を被り髭もじゃのいかにもという感じの男が王座に腰をかけていた


アリス「こ、この度はご依頼いただきありがとうございます。…ナハ・アッラルガン星王陛下」

アリスは胸に手を当ててお辞儀をする。


兎丸「ありがとうございます!!」

兎丸も続いてカーテシーをする。


ナハ「おや?わしのことを知っておるのか?」


アリス「…失礼ながらここに来る途中のデジタル新聞で拝見いたしました。」 


兎丸「私は名前知らなかった!王様なのは一目でわかったけど!」


ナハ「構わん。構わん。こちらこそ儂からの依頼だと隠しておったからのぉ。」

大きな手で髭を解きながら笑顔で言うナハ国王陛下


アイアン「…申し訳ございません。星王の名前で依頼して仕舞えば大事になる。それは避けたかったので私、名義でさせていただきました。」


アイアンはそういうと頭を下げた。


アリス「いえいえ、大丈夫ですよ。

……それと、もしかして依頼の内容も少し違うのでは?」


兎丸「えっ!?」

 

アイアン「…左様でございます。」


兎丸「どゆこと??どゆこと??」

兎丸は顔にはてなを浮かべる


アリス「……まず、俺らが吟一さんに聞かされていた依頼の内容。



この星には一年前から怪人が現れるようになり

この星用の対宇宙怪人用アンドロイドが作れるまで各星のアンドロイドに怪人退治を依頼していた。

それに今回僕らが約5日だけ選ばれた。


だったよな?」


兎丸「うん!」


アリス「けれどさっきデジタル新聞で見た記事には……この星のヒューマノイドが作られて目まぐるしい活躍をしているという記事を見つけた。しかも半年前から現在にかけての記事だ。」


兎丸「へー!……んん?じゃあここの国のアンドロイドもう完成してたの?じゃあ私たちいらないのでは?」


アイアン「…えぇ、アリス様のいう通り。

半年前にダリア星専用のアンドロイドは一体、完成しており現在も稼働しております。

ですので以前のように海外に依頼することも無くなったっていたのですが。」


兎丸「?じゃあなんでまた依頼したの?

アンドロイドが壊れちゃった?それとも一体じゃ足りないから?」

さらに?が増えていく


アリス「仮にアンドロイドが壊れてたり足りないのであればそう依頼していただければいい問題ないはず。


そうしなかったのは何か理由があるのでは?」


ナハ「実はのぉ。この星には世界中から優秀な若者が集まる学院…ブルーアルストロメリア学院があるのじゃが

最近生徒が何人も行方不明だと言う報告が来ておる。


儂らはそれを学院に隠れ住む怪人の仕業じゃと思っておるのだが


ブルーアルストロメリア学院は証明書をもった学生とその教師以外絶対に入れないようになっておる。



たとえ星の王であっても。」


兎丸「へー!なんで?」


ナハ「あそこはこの星の一角じゃが宇宙中の人間が集まる場所じゃからあそこだけほぼ別の中立星家みたいなもんなんじゃよ。



学院長が防犯設備は完璧で

危険は絶対にないと豪語している以上、

対宇宙怪人用アンドロイドが見回りに入ることもできるのじゃ」


こまったのぉ。と言いながら首を傾げるナハ星王陛下



アリス「なるほど……無闇矢鱈と本当のことを言って宇宙際問題になりかねないから偽りの依頼を…」


アイアン「えぇ、なのでくれぐれも極秘でお願いします」


アリス「分かりました。


でも一つ安全だと豪語しているのに行方不明者が出ているのならその学院安全ではないのでは?」


アイアン「その通りでして一度学院長にお城に説明に来てもらったのですが


学院長曰く行方不明者は全て自主退学して学園を去った後に行方不明になったと。


自主退学の手続き書類も行方不明者分全て持ってこられました。


書類を書いた日付も全て行方不明になる前でした。」


アリス「だから学院内は安全……とはならんだろ。」

冷静にツッコミを入れるアリス


アイアン「えぇ、ですがこちらには学院内で行方不明になったと言う確固たる証拠も怪人の仕業という証拠もないですし。


証拠を掴もうと学生になって潜入調査させた調査員も自主退学書類を書いた次の日に学院外で行方不明になりました。…それも…何人もです。


うちのアンドロイドは顔がわれているでしょうから返送させて人間として調査させようも考えたのですが学内に入る時に金属探知機ゲートがあるので不可能でして。」


兎丸「アンドロイドも入れないし潜入調査もできないなら証拠探すのもできないねぇ」



アイアン「えぇ、そこで アリスさんにはサファルファ学院に編入生として潜入してもらい怪人の証拠を掴んでもらおうと。


…送り込んだ潜入調査員は怪人と戦ったことがないので無謀でしたが

常に怪人を相手にする立場の人間であるアリスさんであれば飛び込み入学の"人間"として

潜入調査だとバレないし上手く立ち回れるかと。」



兎丸「アリス君がメインなのーー!?私も入学する!!」


アリス「だから無理なんだって。宇宙港の二の舞になる」


兎丸「うえん」


アイアン「兎丸さんにはアリスさんが怪人の証拠を掴め次第、うちにいるヒューマノイドと共に協力して倒してもらいたいのです。」


兎丸「じゃあそれまで観光できるね!!アリスくんがんばっ!!、」



アリス「お前なぁ……



そもそも、宇宙中から秀才が集まる学校…編入試験ありますよね?」


アイアン「えぇ、もちろん。」



アリス「いつですか」


アイアン「明日の午前8時から予約してあります。


合格すればその日の午後から編入生として学内を自由に歩けます。


早急で申し訳ありまん。こちらもこれ以上、行方不明者が出ると本当に星の信頼を失うので


……短期間での潜入はアリスさんにしか頼めないのです。

貴方であれば今から勉強せずとも合格できるでしょう。」


 

アリス「……お、おう。」

こうして幸先が不安になる依頼が幕を開けるのだった。


ナハ「すまんが頼んだぞ。」


兎丸「うん!!」


アリス「はい」



アイアン「宿泊施設はこちらで準備させていただいております。

そちらまでご案内いたしますね。」



___________________________________



カサブランカ城 城外


お城の長い長い階段を3人で下っていく。


アリス「……あの、メゾ・アイアンさんはもしかして俺のことで何か知ってるんですか?」



兎丸「?」


アリスはなんの脈略もなくそう問いかける


アイアン「えぇ、随分昔にと風の噂で聞いたことがあるんです。


…譜和アリスという知能にギフパーソンを持った少年を。


…申請はされなかったようですが。」

そう言ってアリスの方に振り返った。


アリス「あぁ、なるほど

確かにこんな早急に秀才達が集まる学院の入試を合格できるのはかっこいい俺くらいですね。」


アイアン「はい、期待しております」


アリス「おまかせください。」



兎丸「ねぇ!なんの話!?ギフパーソンってなーに!!」


兎丸は話をのけものにされてアリスの服を引っ張った。



アリス「ギフパーソンっていうのは人間の平均より著しく高い知的能力を持う人間のことだよ。

俺はそれなんだ」


兎丸に説明しながら再び歩き出す。


兎丸「アリス君ちょーぜつ頭がいいってこと?」


アリス「まぁ、人間の平均よりは?」


兎丸「へぇ!じゃあじゃあそのギフパーソンって人たちはめっちゃ計算早かったり、暗記がすごいできたりとか??」


アリス「それは人それぞれだよ。

中には知能じゃなく異常に身体能力が高い人もいるらしいし。


俺は

情報処理能力、認知力、記憶力、理解力、学習能力、空間認識能力、洞察力の7つがずば抜けてるらしいけど。」


兎丸「なんかよく分かんないけどかっこいい!」


アリス「頭脳戦なら誰にも負けないってこと。子供の頃から勉強と本を読むのは知識は莫大だと思う。」


兎丸「おぉ!分かりやすい!!


それと!さっきアイアンメゾおじ様が言ってた申請ってなに?」


アイアン「申請というのはギフパーソンが

自身の能力を各国に必ず一つあるギフパーソン登録協会で証明して

ギフパーソンであることの証であるレディバグのブローチをもらうことです。」


兎丸「れでぃばぐ?」


アリス「てんとう虫って意味だよ」


兎丸「それするとなんかいいことがあるの?」


アリス「さぁ?」


アイアン「ブローチの効果は持っている者のみに知らされるのでほとんどの人が知らないでしょうね。」


兎丸「なんでアリス君は申請しなかったの?」


アリス「あんまり興味がないから」


兎丸「そっか!


まぁでもアリス君がめちゃんこ頭いいなら潜入捜査はうまくいきそうだね!!」


アリスのあまりにも簡潔な返事に兎丸は特に気にすることなく返事を返した。

___________________________________


首都:ユリの都 ホタルソウ


話している間に城下町のホテルに着いた3人



アイアン「予約していたアイアンメゾです。」


受付「はい、お待ちしておりました。

滞在はお二人で5泊6日だとお聞きしておりますが」


アイアン「はい、私は付き添いですので部屋にご案内次第すぐにお暇します。」


受付「かしこまりました。404号室をご利用ください」


受付はそう言ってカードキーを渡した。


受付「お荷物はお運びしましょうか?」


兎丸「ううん!自分で持ってく!」


アリス「俺も大丈夫です。」


アイアン「では参りましょう。」

アイアンはそう言ってカードキーを受け取ると再び2人を先行し始めた。


___________________________________

無事エレベーターで上り404号室へと着いた3人



アイアンはカードキーでロックを解除して扉を開くと2人に先に入るように促した



兎丸「ひゃっほい!!ちょー!広い!!」


兎丸は早速部屋を駆け回りソファで飛び跳ねる。


アリス「ここってロイヤルスイートじゃ…」


アイアン「はい、一つのリビングキッチンを挟んで寝室もバスルームとトイレも全て別々に完備してます。」




兎丸「うぉ!めっちゃベット大きい!!」

アイアンが説明している間も兎丸は

ひたすら扉を開けまくり探検する


兎丸「お風呂も広い!これぶくぶくするやつだ!」



兎丸「アリス君!もはやこれはお家だよ!!」



遠く離れた部屋から大声で言う兎丸。



アリス「はしゃぎすぎ。」


アイアン「何かと慣れない環境でしょうが

星王陛下が手配された部屋なので

お値段は気にせずホテルでだけでもお寛ぎください」


アリス「ありがとうございます。」


アイアン「……それとこちらのケースには明日の受験票と筆記用具お洋服と

合格した際の制服も入ってございます。」


アイアンはアリスと兎丸に会う時からずっと持っていたケースをアリスに渡した。


アリス「助かります。今確認しても?」


兎丸「私も見る!!」



アイアン「はい、……それとこちらの手配ミスでアリスさんには__」



アリス「……これは!?」



兎丸「およ?」



アイアン「女性として入学していただくことになります。」


アリスと兎丸は

ケースに入った鬘とワンピースとブレザースカートだった。



アリス「なんで!?」


アイアン「申し訳ございません。服と受験票を手配した者がアリスさんを女性だと思っていたみたいで。


急遽、鬘を準備しました。」


アリス「あー、それは仕方ない。」


兎丸「いいじゃん!似合うかもよ?」


アリス「顔に面白そうって書いてあるんだけど??」



兎丸「気のせいだよ。」


アイアン「申し訳ありません。」

アイアンは深く頭を下げる。


アリス「いえいえ。


むしろ俺のかっこよさを隠すには性別を偽るくらいでないと。」



アイアン「そうですか。服は大きめに仕立ててあるので大丈夫だと思いますがもし何かありましたらご連絡ください。


それと潜入調査の報告も電話でご連絡で大丈夫です。

証拠を掴み次第。また新たに依頼を更新します。」


アイアンはそう言って自身の連絡先が書いてあるメモを渡した。


アリス「分かりました。」

アリスはメモを受け取り返事をした。


アイアン「では明日からよろしくお願いします。失礼したします。」


アイアンはそう言ってホテルを後にするのだった。


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