4-1 作り込まれてるからといって成功する訳ではない

 皆さまこんにちは、司会天使のパプリエルです。


 異世界とは大抵が多くのイベント目白押しです。

 世界を救ったり、愛する人と冒険したり、大いなる謎を追ったり、強敵と死闘を繰り広げたり。

 後はその中で目的から外れてスローライフを満喫したりもあるでしょう。

 そんな多くのシチュエーションを神々は求め、楽しんでいるに違いありません。


 ですが、知っていますか?

 そんなイベントがとある力をとめどなく動かしているという事を。


 今回は、そんな力の影響が及んだ事で失敗してしまった世界を紹介致します。

 とはいえ、この世界は転移も転生もしていません。完全に独立した異世界となっております。


 では何故、異世界転移転生ドキュメンタリィで独立世界の話をするのでしょうか?


 それは、今回紹介する世界が必ずしも異世界転移転生と無関係では無いから。

 何故ならば、実は裏で語るにも恐ろしい事案が発生していたのです。


 という訳で今回お呼びしたのはこのお方。

 その世界で主人公の仲間として活躍していた、レートヴィ=ネイサンスさんです。


「こんにちは、初めまして。レートヴィと申します。気軽にレティと呼んでください」


 よろしくお願いしますね、レティさん。


 本番組では初の女性出演者ですね。

 なので今までとは少し違う語りが楽しめそうです。


 あ、いえ楽しんではいけないのかもしれませんね。これも失敗談なので。


「いえいえ~もう私達も諦めたんで、楽しんでもらえればいいな~って思ってます」


 そう言って頂けるとありがたいですね。


 レティさんの世界は【アトラリクス】というしっかりとした名前を有しているそうです。

 他にも創り込みが深く、惑星単位でも完成度が高かったそうな。

 レティさんの住む星自体もきちんと全土が構想された状態なのだそうですよ。

 今まで紹介した世界の中で最も完成度が高いと言えます。


 それというのも、この世界はいわゆる『エスエフ』と呼ばれるジャンルを含むそうで。

 それも世界が剣と魔法のファンタジー風でありながら。きっと神の拘り故なのでしょう。

 なのでレティさん達の存在感も凄まじいものがあります。


「ふふっ、そんなでもないですよー。あ、私達の事知ってます? 煌霊合神こうれいがっしんエルフィオンっていうんですけど」


 耳にした事はあります。

 なんでも五人のエルフ戦士が変身・合体して巨大ロボットになるのだとか。

 それで突如来襲した異星人から世界を守る為に戦うと。


 とんでもない設定ですが、非常にスタイリッシュで戦闘もカッコよく、当初は割と評判が良かったと聞きますね。


「そう、そうなんですよー。あ、でも私自身は六人目の追加戦士でELFエルフでも無い只の人間なんですけどね」


 そうでしたね。ただ主人公達に力をもらって、新しい仲間として目覚めたのだとか。


 ちなみに主人公達は彼女と異なる種族です。

 その通称はELF。遥か昔、レティさん達の星にやってきた異星種族の末裔だそうな。

 彼等が住む地域にだけ食べれる植物があるので、結果そこに居付いたのだと。


 見た目は色白、耳がとても長く背も高く。

 大体が面長で美形なので、想像している方々と大体一致していると言えるでしょう。


「うんうん、アシュフィル君達、ほんとかっこいいんですよー。かくいう私も惚れちゃって」


 どうやら冒険そのものは楽しかったようですね。


 かくいう私もアシュフィルさん――その世界の主人公に一度お目にかかりましたが、とても格好良かったです。

 ほんの少し変人でしたけど。機械いじりが趣味な。


「それだけが難点ですねー。戦いの時は熱血漢になるんですけど、普段はおっとり、それでいていきなり走り出すみたいな扱い辛さを見せてくれます」


 まぁある意味キャラが立ってるので正解かもしれませんね。(笑)

 なおあらすじとしては『アシュフィル達が先祖が遺したエルフィオン化装置を浴びて、世界を救う旅に出る』といった感じです。

 それで合体出来るようになるんですね。

 でもエスエフでありながらファンタジーなので、基本は何でもありみたいです。


 なので合体した後は地球メートル法で言う所の一八メートルにもなるそうですよ。大きいですねー。


「最初見た時はホントびっくりしましたよ~。闇夜に炎と煙で包まれた街の中、突如立ち上がるのは鋼鉄巨人! 翡翠の眼が瞬き、金色の角が炎を受けて輝く、その姿はまさしく煌神か! なんて」


 コマーシャルっぽい語り方ですね。さりげなく宣伝してません?


「折角なので(笑)。ダイレクトマーケティングです」


 ほどほどにお願いしますね。(笑)


 ――というように、まるで成功例とも言える雰囲気を醸し出していますね。

 ですが、この世界もれっきとした失敗談の対象です。


 失敗によって刻まれた傷痕はもはや取り返しが付かないレベルなのだとか。

 今でこそ解決はしているそうですが。


 レティさんが明るいので不幸さを感じませんけれど、相当事態は重いそうですよ。


「多分ここまで凄まじい失敗はなかなか無いんじゃないかなぁ。幸とか不幸とかそういうの抜きにして。しかも神様まで巻き込んだんだからもうねー」


 そう、今回の事案はなんと神までが被害者。

 創造神を巻き込むくらいの事態がこの世界では起きていたのです。


 さぁ、果たしてその事案とは一体。世界を包んだ不幸の原因とは。

 神をも巻き込む壮大な失敗が今、ここに!


 ではではレティさん、よろしくお願い致します。

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