大切にしたい好きがある

祐里葉

第0話 好きは怪獣

好きは怪獣だ。


一度暴れだすと、もう止まらない。


怪獣は突然やってくる。


何の前触れもなく、突然現れて、ワタシの心の中で暴れるだけ暴れて、そして去っていく。


ワタシは怪獣を倒す手立てを持っていない。


だから、怪獣が暴れ出したら、ただ見ていることしかできないのだ。


怪獣が地面を踏み鳴らすたび、ワタシの心にずっしりと好きという足跡が残る。


怪獣が炎を吐くたび、ワタシの心はギュッと締め付けられるように痛む。


ワタシには、もう怪獣なんて、存在しないと思っていた。


でも違った。ずっと眠っていただけだったのだ。


どうして今さら、こんな気持になるのだろう。


好きが怖い。


ワタシは人を好きになるのが怖くて怖くて仕方ない。


涙が溢れて、泣いて泣いて、泣き続ければ、涙は枯れてしまうのに、どうして好きという気持ちは無限に溢れてくるのだろう。


好きと1000回叫んでも、枕をギュッと1000回抱きしめても、好きという気持ちが心の奥底からどんどん溢れてくる。


昼でも、夜でも、夢の中でも、貴方がワタシの頭の中にて、それを感じる度に、胸がキュウキュウと締め付けられる。


人を好きになることを諦め、人を好きになることを遠ざけ、人を好きにならないと決めたのに、人を好きになることなんてもう無いと思ったのに、好きは心の隙間に入り込んできて、ワタシをメチャクチャにする。まさに怪獣だ。


ねぇ、教えて、どうすれば、この好きが止まるのかを・・・。

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