第二章

運転している最中に、今回の助けになるような人物を考えてみた。一人だけ、刀の扱いについて詳しい奴がいる。そいつには嫌われている俺だが、事情が事情だ。頼るしかない。

俺の家に着くなり、そいつに連絡を入れる。

『なぁ凛、明日って暇か?』

 間髪入れずに返事がきた。暇人なのだろうか。俺も人のことは言えないが。

『暇だとして、何でアンタに教えなきゃいけないわけ』

 相変わらず嫌われている。だが、ここでめげずに何としてでも相談にのってもらわなくてはならない。

『伊波が大変なんだよ。少しの時間で良いから相談にのってくれないか』

『伊波くんが? それは大変だわ。アンタのことは気に食わないけど、伊波くんは嫌いじゃないし相談にのるわよ。明日の午後一時、私の家に来て』

 凛は伊波と仲が良い。河奈ともだ。それにしても、俺だけ嫌われてるって疎外感を覚える。

『了解』

 一度会話を終了させ、改めてお宮さんの状態を見る。綺麗に真っ二つに折れているそれは、異様なオーラを纏っている。禍々しさと神聖さが共存している、としか言えない。それにしても、本当に話が出来るのだろうか? それは伊波だけの特権なのだろうか。気になったが、どうすれば話してくれるのかわからないので諦めた。

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