第1章 保礼遥花

第52話 あの日の後

「どする?この後。まだ一時過ぎくらいだけど、ゆずちゃんも今日はオフだよね?」


「オフですけど…確かに解散にしては早いかもです」


「んー、じゃあデート、しよっか」


「え!?」


 真相も分かり無事に黒川証券を出て、私はこのまま解散して次の仕事に備えてゆっくり休もうかなーなんて思っていたのだけど、彩乃さんから思わぬ提案をされた。


「ほら、この前今度自宅に招待してあげるって言ったじゃん」

「!?いいんですか!?」


 間違いなく言っていた。確か……ドライヤーを渡した時だったっけ。それでその後に朧と接触したんだった。


「でも自宅は今はだーめ。散らかっちゃってるから」

「あー……残念」


 散らかっている部屋は彩乃さんの生活感に溢れていそうでそれはそれで気になるのだけどそういう問題ではないだろう。


「だから……遊園地でも行こっか」

「ぜひ!!」


 即答する。

 遊園地!彩乃さんとデート!それだけで胸が踊ってしまう。うん、ライブとか諸々頑張ったご褒美だきっと!


「近くだと……あ、こことかいいんじゃない?」

「いいですね〜ここから三十分くらいですし」


 彩乃さんが選んだのは野球ドームのすぐ側に併設された遊園地だった。何となくアトラクションを調べて見たけれどこれなら半日でも十分回れそうだ。


「あ……話変わるけど、そういえば朧、捕まってなかったらしいよ」



「っぶ!」


 唐突な話題変換に思わず吹き出してしまう。話変わりすぎです。


「いきなり物騒な名前出さないでください」

「へへへ、ごめんね」


 朧を倒した後、私は彼女を拘束せずに大急ぎでステージへと向かったため、案の定、と言うべきか朧は逃げてしまったようだった。


 不幸中の幸いというべきか、朧は私と戦った痕跡をしっかりと隠滅してから姿をくらましたため、私と朧の戦いが表に出ることは無かった。


「あと、分かってると思うけど、私以外のメンバーに元殺し屋ってバレるのも絶対NGだからね」

「もちろん、分かってます」


 私が元殺し屋だとバレることは私がForceを辞めることを意味している。


 ……みんなに迷惑をかける訳にはいかないからね。


「じゃー暗い話はここら辺で終わり!行こっか!!」


「はい!!」


 こうして再び私たちの物語が動き始めた。




__________


 作者より

 皆様お久しぶりです。第二部の投稿スタートいたします。毎日投稿は厳しいですがなるべく高頻度で投稿していきたいと思っています。よろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る