策略-9
さくらは家に帰った後、部屋に友人を呼びパーティーを開いていた。
「あームカつく!!」
さくらは床をドンッドンッと大きな音を立て地団駄を踏む。
「どうしたんだよ。さくらちゃん、今日は一段と荒れてるじゃん」
友人の
「荒れるし。だって、ムカつく事があったから」
「ムカつく事?」もう一人の友人、
「そう。私が依頼した探偵がさ、まだストーカーの調査続けるって言うの」
「何でまた?」
「知らないわよ。どうも、この美貌に惹かれたのかなぁ~」
「美貌ね・・・・・・・」
「なんか、棘があるわね」
隣に座る武彦を睨みつけるさくらに「お~怖い怖い」と身震いする健人。
「なぁ、その探偵さ。俺たちが片づけようか?」
「え! ホント!!」さくらはその提案に目を輝かせる。
「ホントだよ。友達のピンチに助けるのは当然だろ? なぁ、健人」
「ああ、そうだな」健人はそう答えると、ビールを流し込む。
「じゃあ、善は急げだ」
武彦はスマホを手に取ると、SNSメッセージアプリを開いてグループに熱海探偵事務所のサイトのURLのリンクを貼り付ける。
「これで良し。早くても明日には動くだろ」
「明日ぁ~ あいつ、明日の朝、迎えに来るんだけど。私も巻き添え喰らっちゃうってこと?」
「そうならないように、善処するよ」
「頼むよぉ~ 武彦君!」
そう言うさくらの顔は、カメラには絶対に見せない顔をしていた。
翌日、長四郎と燐が宣言通り迎えに来た。
「おはようございます」
マンションから出てきたさくらに深々と頭を下げて挨拶する長四郎。
「おはようございます」そう返すさくらの顔は迷惑だと言わんばかりの顔をしていた。
「では、行きましょうか?」
長四郎は絢巡査長がハザードを光らせている車へと案内する。
さくらは車に乗る前に立ち止まると「以前から居るこの人、誰ですか?」絢巡査長を怪訝そうな顔で見ながら質問する。
「紹介が遅れました。彼女は刑事です。貴方のストーカー被害を教えたら彼女が犯人探しを手伝ってくれることになりましてね」
面倒な事になったなとさくらは思ったが「ありがとうございます」と笑顔を見せて車に乗り込む。そして、乗り込んですぐにさくらは武彦に計画の変更を依頼する。
「何かありました?」
慌ててスマホを操作するさくらに長四郎は質問した。
「あ、いえ。大学の講義が休校になったので。空いた予定をどうしようかと」
「やっぱり、あれですか? 空いた時間にモデルの仕事が入るなんてことも?」
燐が質問すると「そうね。この日は講義一つだけだから。仕事が入ることもあるの」とスマホを操作しながら答える。
「今日は、テレビ撮影でしたよね?」
「ええ」
「じゃあ、我々はスタジオの近くで待ってますから」
「あ、そうですか。終わったら連絡します」
「お願いします」
四人を乗せた車は東京タワー近くになる撮影スタジオへと向かった。
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