長屋-6

 翌日、長四郎と燐は重則と一太郎から話を聞くため、燐が通う高校の近くにあるファミレスに来ていた。

 店内で待つこと、十五分。

 部活終わりなのか、汗だくでジャージを来た男子高校生二人が、長四郎達が座る席に近づいてきた。

「どうも、展戸重則です」

「測理一太郎です」

「探偵の熱海長四郎です」

 長四郎は男子高校生二人に自分の名刺を渡す。

「探偵さんですか。コナンみたい」

 隣に座る重則にそう言う一太郎。

「コナン。コナン」

 嬉々として、一太郎に相槌を打つ重則。

「なぁ、なんかムカつくから殴って良い?」燐にそう耳打ちをする長四郎に燐は「ダメに決まってるでしょ。バカ!」と長四郎の足の甲を思いっきり踏む。

「ぐっ!!」痛みに堪える長四郎は、本題を切り出す。

「君達は、あの死体の正体をどう思う?」ドストレートな質問をぶつける長四郎。

「どうって・・・・・・・」死体と瓜二つの一太郎は返答に困る。

「最初はこいつが死んだと思っていました。でも、冷静になればそんなことないんですけどね」

「まぁ、そうなるわなぁ~」長四郎はグラスに入ったコーラを飲む。

「ねぇ、一太郎君って兄弟いるの?」

「いるけど。それが関係あるの?」

「いや、家族の誰かって事は無いかなぁ~なんて」

「そしたら、身元が判明しているだろ。スカポンタヌキ」

「私がタヌキ顔だって、言いたいの?」

「君たちも大変だね。こんな話の通じない単細胞と同じクラスだなんて」

 長四郎が言うや否や燐の肘うちを腹部に受ける。

「グボッ」机に突っ伏す長四郎を見て、顔を引きつらせる重則と一太郎。

 燐がここまで凶暴だと思っておらず、イメージギャップに戸惑う。

「お前、勉強もせずにこんな所で遊んでいるって良いご身分だな」

 そう話し掛けてきたのは、これまた一太郎に瓜二つな男であった。

 一太郎と違い、ポロシャツにチノパンに身を包み眼鏡を掛けている事でしか、見分けるすべがないくらいそっくりの男であった。

「二太郎・・・・・・・」

「え、兄弟!」驚く燐を見下す二太郎は一太郎に目を向ける。

「ま、バカはバカらしくバカ共とつるんどくんだな」

 それだけ言うと、レジに向かって行った。

「何、あいつ」燐は隣に座る長四郎をサンドバッグにして、憂さを晴らす。

「ごめん。あいつ、東大目指しててさ。ピリついてんだ。許してくれ」

 一太郎は頭を下げて謝罪する。

「何も一太郎君が謝る事は無いよ」

「そうだぜ。一太郎。あいつは昔からああなんだから」

「そうか。そうだよな」少し元気がなくなる一太郎に長四郎は「二太郎って事は、あれ? 弟?」と質問した。

「そうですけど」

「そうか。悪いんだけど家族写真と家族の詳細について教えてくれない?」

「それが、事件解決と関わりがあるんですか?」

「あるかもしれないし、ないかもしれない」長四郎は、無責任な回答をする。

 それでも一太郎は「分かりました」と了承し、長四郎に家族の情報を教えるのであった。

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