第2話 私は女神
さっきの女性がお盆を持って出てきた。そこには、ティーポットとカップと砂糖入れがあった。
「さぁ、ベッドに座って。これを飲んで」
彼女は私にそう言われたので、素直に従って腰をおろした。
彼女はサイドテーブにお盆を置き、ティーポットを持ってカップに注いだ。柑橘系の良い香りのする紅茶だった。
「砂糖はいる?」
そう聞かれたので、私はコクンと頷いた。
「分かった……ハイ、どうぞ!」
彼女は砂糖入りの紅茶を私に渡してきた。良い香りが私の喉を欲していたので、受け取った。
一口飲んで見る。ほんのりとした砂糖の甘みと柑橘の香りが良い具合にマッチして、胃が暖かくなった。
「どう?」
空のように澄んだ瞳で私を見てくる。
「美味しいです……」
久しぶりに声を出したからかかすれてしまった。が、彼女は聞き取れたらしく、「本当?!」と嬉しそうな顔をしていた。けど、何故か暗くなっていた。
「あの……あなたは誰なんですか?」
私が尋ねると、彼女は「あぁ! そうだった。まだ名乗ってなかったね」と明るい表情に戻った。
「私は女神。あなたは自分の来世を決めるためにここにいるのよ」
彼女にそう言われた時、私はその事実に素直に受け入れる事ができた。やっぱり、私、死んじゃったんだ。
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